2014年3月30日日曜日

1クラス5人の犠牲者たち



 今年の春期講習がはじまり、今日はお休みの1日です。あとは土曜日まで、一気に進んで行きます。
 夕方のちょっとレベルの高い新中学1年生の講習からはじまり、次は小学生の皆さんの算数ゼミ、それが終わると夜は中学生たちの講習となります。
 前半が終わり、いま塾長である私の気持ちの中に大きく占めているのが、年齢よりも幼い小学生や中学生たちのことです。彼らは最近、急に増えてきているように思います。塾をはじめた20年前にはまったくいなかったタイプの彼らが、急に増えはじめたのは、たぶん5.6年前からだと思います。彼らの特徴としては、まず何事にもやる気がないこと。そして社会性がないために、友だちとの関わりが少ないこと。友だちはいるかもしれませんが、多数の知り合いがいるというタイプではないと思います。たとえば休日に友だちと遊ぶというよりは、家庭の中で過ごすことの方が多いのではないでしょうか。そしてストレスのはけ口が兄弟であるとか、母親に向いていることが多いように思います。あと朝起きられない…。そんなことも含まれるかもしれません。そして彼らに共通しているのが、学力が極端に低いこと。

 中学入学後に学力の低さに気づいて、それに心配した保護者たちは塾に通わせようとします。塾に通わせることで、成績の上昇があるのではないか。当然、そうした期待があるのだと思います。でもそうした生徒が塾に通ったとして、成績が上がるかといえば、これは条件付きのYesだと思います。どんな条件が必要かと言えば、それは彼らが何らかの突然の化学反応を起こして、人間的に彼らが急に成長することだと思います。学力的な成長よりも、まずは人間的な成長が必要だと思います。そしてそのことを一番知っているのが、彼らを受け入れる側の塾だと思います。それを知りながらも、塾側はどうするか? たぶんそんなときに、塾の姿勢のようなものが出てくるのだと思います。
 シローズならば、まずはその生徒に向き合うことからはじめると思います。その生徒にとって、塾の講師たちが信用できる人間であることを伝える努力をします。次には少しずつ、その生徒に頑張ることの大切さを伝えようとします。そうした日々の繰り返しの中で、その生徒の化学反応のチャンスを探すと思います。
 ただこれが、本当にむずかしいです。彼らとのちょっとした気持ちのズレによって、全てを台無しにしてしまうことだって起こりえます。放っておけばトラブルは起こらないし、誰も傷つくことはないと思いますが、それではだぶん成績の上昇はないと思います。

 どうしてそうした中学生たちが増えてきているのか? そして小学生たちには、その予備軍たちが後を立たない状況を前に私は考えます。
 前に「就学児たちの不思議な世界」というブログを書かせていただいたことがあります。小学校入学を前にした子どもたちが、英語をはじめとする学習の習い事を始めているという状況を書いたものです。その状況を考えると、保護者たちの教育熱は高まっているはずです。それなのに、前述のような子どもたちがなぜ増えているのか? 私は大きな疑問を感じます。もしかしたら、それ以前の教育を受けていない子どもたちが増えているのではないか。

 いまおそらく安行地区・新郷地区の中学校の1クラスで、5人前後の子どもたちがこうした状況なのだと思います。そして私には、彼らが何か大きな世の中のうねりの中での犠牲者のように思えてきます。