2014年11月29日土曜日

2014 冬期講習会を前にして、塾長は思う…

今年の冬期講習会について、書かせていただこうと思います。

Facebookの方でも書かせていただきましたが、「一人一人の生徒に向き合うこと」をテーマに行わせていただきたいと思っています。
これには理由がありまして、小学生たちも中学生たちも皆んないろんなものを抱えているように思うのです。もう本当、例えば10人の生徒がいれば、10人の保護者の事情と10人の生徒個人の事情があるように思うのです。どこまでできるのかは正直なところ不安はあるのですが、8人の大学生の講師たちと嫁と母もそうで出…向き合いたいと思っています。地域的な要因もやっぱりあるでしょうし、ご家庭とは違う環境の中でしか打ち明けられないものもあるように思うのです。


「小学生算数ゼミ」 塾生は塾使用テキストを、その他の生徒は講習テキストを使った指導を行わせていただきます。 1225日、26日、29日、15日〜7日まで全6日間 / 15301650または17101830


「中1・中2・高校生TACゼミ」 教科は基本的に英語と数学、ただし教科についてはご相談をお受けしたいと思います。講師1人に対して基本的に4人までの生徒の個別授業を行い、履修生徒の学力状況に合わせて教材と学習内容を決めさせていただきます。1222日、25日〜27日、29日、15日〜7日の中からクラスによって全7日間 / 19102200


「中1・中2テストゼミ」 英語・数学・国語の3教科のテスト問題を使った演習とその解説をワンセットとした講座です。成績上位者の偏差値70維持、あるいは70突破を目指した講座です。1222日、25日〜27日、29日、15日〜7日の全8日間 / 19102200


さて中3ゼミについての説明をさせていただく前に、少し補足をさせていただこうと思います。
埼玉県公立受験問題の特徴は、受験校のレベルによって合格平均点に差が出ることだと思います。例えばある教科の浦和高校合格者の平均点とそのすぐ下の大宮高校合格者の平均点には、若干ですが確実に差が出ているようです。これは最上位の公立高校だけではなく、例えば浦和市立と春日部高校だとか、浦和西と川口北でも同様の差が出ているはずです。北辰の資料では浦和高校の合格平均偏差値が71.1、大宮高校が70.1ですから、わずか偏差値1ポイントの差の高校であっても、入試得点で差が出る…それも5教科に渡ってしっかりと差が出る問題、これが入試問題なのだと思います。
この辺が公立受験問題と北辰テスト等模擬試験との一番の違いです。北辰テスト等の模擬試験では、時には偏差値65の生徒と70の生徒の得点がかなり近くなってしまうことがあると思います。だから模擬試験の偏差値は当てにならない。学力以上の偏差値が出てしまうこと、または逆に学力以下の偏差値が出ることが時として起こる。だから北辰テストの結果だけで受験校を判定することは、とても危険だと思います。これは北辰テストに限らず、UPテストや中学で最近行われている校長テストについても同様のことが言えるように思います。
入試問題と北辰テスト等の模擬試験を解いてみると分かるのです。入試問題が圧倒的に難しいというのではないのです。模擬試験問題にも難しい問題はあります。でも簡単な問題であったとしても、いろいろな知識を使って問題を解いているという実感が、入試問題には圧倒的にあるように思います。
ですから入試問題と北辰テスト等を一緒の問題と考えることはできないと思います。そして北辰テスト等の結果だけで入試での得点を想像することはできても、その通りにはならない可能性がかなりあることを認識しないとならないと思います。では受験校の判定はどうするかといえば、シローズでは以下のことを行って判定しています。

以下はシローズの冬期講習会以降の中3生指導の内容です。昨年もシローズ冬期講習会からの中3指導について、ブログで書かせていただきましたが、その内容をさらに詳しく書かせていただきます。

「冬期講習会」1. 公立入試問題演習講座
クラスを2クラスに分けたいと思います。「基礎充実クラス」と「上位校受験クラス」です。公立入試の過去問題を「基礎充実クラス」は5回、「上位校受験クラス」では8回行います。冬期講習会で公立入試問題を行う目的は、一つは中学学習範囲の総復習。
冬休みの時期に何を勉強するかというのは、受験を数ヶ月後に控えた中学生たちにとっては大きな問題だと思います。この時期に何を勉強するかによって、合否が決まるといっても過言じゃない。中学学習範囲が全て終わらず、一月後には私立高校受験がある。本当なら私立高校の過去問題を行いたいところであるが、やはり安行地区・神郷地区のように中学で全範囲が終わっていない状況では、私立問題の演習に入るのには危険が伴う。急に難しい問題を行うことで、精神的なパランスを壊す危険性が出てくる。私立問題の演習を前に、予習を含めた中学学習範囲の総点検を行うには、公立入試問題の演習が最適なのではないか。
この公立入試問題の制限時間通りの演習とその解説を上記のように繰り返し行う。「基礎充実クラス」では1日目の午前中に5科の入試問題演習、午後からは講師の指導の元で直し、そして翌日はたっぷり時間をかけて解説を行う。また「上位校受験クラス」では午前中に演習、午後から夕方まで解説を行います。
二つ目の理由が学力の確認です。県内の高校の場合、高校のレベルによって合格得点の幅があるように思います。例えば浦和高校で420点から450点、大宮と浦和一女で390点から420点…川口で200点から230点という具合です。公立高校の過去問題演習を行うことで、12月末から1月はじめの時期の合格の可能性を推測したいという意味合いです。おそらく北辰テスト等の模擬試験以上の合格判定が出来ると思います。
三つ目が県内公立問題の解き方を学ぶこと。受験生たちは北辰テスト等の模擬試験の点数の取り方をある程度身につけています。しかし冬期講習会で公立問題の演習を行うと、たいていの受験生たちはそれまでに受験した模擬試験問題との違いに驚くと思います。「全く違う…」という驚きの声が上がるほどです。

「冬期講習会」2. 私立入試問題演習講座
・冬期講習会最後の3日間ほど、私立受験校の過去問題演習を毎年行っています。今年は7日(水)〜9日(金)までの3日間になります。そして三学期の授業も引き続き私立過去問題演習を行います。私立高校の入試日がたいてい122日から24日ですから、約2週間弱の期間、受験する私立高校の過去問題を過去3年分、二巡から三巡演習を行ってもらいます。確かにほとんどの私立高校は確約が出ています。ですから不合格となることはほとんどないです。では何のために行うかというと、それは公立受験のための得点の底上げです。
冬期講習中に公立過去問題の演習を行い、公立問題に慣れながら中学学習範囲までの総復習を行う。そして一般的に難易度が高く、私立高校によって特徴のある入試問題を繰り返しとくことによって、私立入試での高得点が取れるばかりでなく公立問題の得点もワンランク上がるはずです。毎年、私立入試後に公立問題の演習を再開すると生徒たちが言います。「問題が簡単になった」と。


「中3ゼミ」

上位校受験クラス 1225日〜27日、29日、30日、13日、5日、6日の全8日間 / 800123013101850 

基礎充実クラス 1225日〜30日、13日〜6日の全10日間/ 800123014001730


私立過去問題演習 1月7日〜9日の全3日間 / 19102200

2014年11月9日日曜日

ある朝、塾長が考えたこと…



昔の話です。ふと…思い出したことがあって、そのことを書かせていただきます。

今年50歳になった僕が20代の終わり頃から30代の初めまで、5年か6年くらいの期間だったのですが、かなり必死にそろばんを教えていた時期がありました。
生徒を連れて毎年県の競技会にも行っていましたし、かなり暗算が強い生徒が何人かいました。
その頃、ベテランのそろばんの先生達からよく言われていたことがありました。
例えば5級の練習をしている生徒が、塾内の試験で各教科70点以上で合格なのに見取り算だけ1題間違えて60点になってしまった。当然不合格なのですが、こうしたときに先生達は悩むのです。合格させてしまえば、そろばんが嫌になりかけている生徒はうれしくて…またやる気を出して次の4級に取り組んでくれるかもしれない。それに保護者が喜ぶ姿も浮かんでくる。
ベテランの先生達は、そんなときも絶対に合格させてはならないと言うのです。合格させてしまえばそのときは喜んでもらったとしても、次の級かその次の級あたりで必ず止まってしまう。長い期間同じ級をやることになり、結局そろばんの級を諦めることになってしまう。母によると、亡くなった父もよく同じことを言っていたそうです。

実はこの話にはもう少し続きがあって、当時志木でもう40年そろばん塾を続けているある先生から聞いた話なのですが、そろばん塾がとても流行っていた頃、級を持っている方たちがいろんなところでそろばん塾を始めた時期があったそうです。
新たにそろばん塾の先生となった方たちの中には、わりとたやすく級を合格させる方が多くいたようです。たぶんどんどん級があがるものだから、その先生の言葉を借りれば、「はじめはいいのだけれど、やがて塾を続けられなくなる…」。
たぶん多くのそろばん塾ができて…、その中のほとんどのそろばん塾が消えていったということだと思います。

話は変わり、もうすぐ各中学校で期末テストが行われます。
そこで思うのが生徒である中学生たちと、その保護者の皆さんが必死になる状況です。まるでその結果で入れる高校が決まってしまうような様相には、気持ちは分かるのですが…ちょっとというか、かなり首を傾げたくなる自分がいます。
そもそもいまの県内公立入試は、ほぼ入試の得点で決まっています。ただ高校のレベルによって必要な内申点がある。それを上回った場合には若干入試得点が低くても合格するし、下回った場合には受験雑誌に載っている平均偏差値よりも高い入試得点が必要となる。
資格はどうかと言えば、たぶん内申点の補助的な意味合いでしかないというのが一般的な状況だと思います。
一般的な状況というのは、川口市内の某高校のように一つの資格さえ持っていれば合格となる高校もあるようです。この辺が多くの方に誤解を生んでいる原因なのではないでしょうか。ただおそらくこの高校は500点満点の公立入試でおそらく50点あれば合格できるはずですから、資格を取るよりも1教科10点ずつの点数を取る方が簡単なのではないか…との思いもしてきます。

ですから県内公立入試において、内申点のウェートというのはそれほど高くはないというのが実情なのではないでしょうか。高くはないというよりも、あくまで入試で何点取れるかという大前提があって、それをサイドからサポートしているのが内申点ではないか…との考えもできると思います。そしてもしも県内の公立入試の合否だけを考えるならば、定期テストの勉強の比重を減らして偏差値を上げる勉強を重視した方が得策なのではないか…との考えを持つのは、たぶん私だけではないと思います。
でもなぜか中学生たちも、そしてその保護者の皆さんたちも、成績という指標をなぜか中学の定期テストの方ばかりに向けがちである。そしてそうした状況を助長するかのように、そしてニーズという経済原則を死守するかのように、いま多くの塾では定期テストの順位を上げる指導が主流になってきている。たぶん多くの塾によって研究がなされ、その結果がシステム化されているのではないかと思えるほどです。
「中間テストの英語で92点取った生徒の北辰偏差値が45だった…」とは、元大手塾の講師で現シローズ講師の声でした。

この状況は、前述のそろばん塾が合格点に満たない生徒を進級させる状況に似ているように私には思います。言葉は悪いですが、明らかに大切な生徒たちに下駄を履かせている。本来定期テストの順位と偏差値はともに上昇しともに下降するものなのに、塾の指導が高校受験にも高校入学後にも役立たない指標を生徒たちに取らせることに終始させてしまっている。この状況は、前述の「はじめはいいのだけれど、やがて続けられなくなる…」ものだと思うのです。
学習塾が続けられなくなり塾を閉めるということは、その代表者とスタッフにしか被害を及ぼさない問題だと思います。でも続けられない…ということは、結局は社会に役立っていないということにつながるのではないでしょうか。塾を続けている自分にプライドなんて少しもありませんが、やはり「先生」と呼ばれる仕事ですから、責任を果たすということを決して忘れてはならないと思います。

そして下駄を履かせてもらえない状況で、日々勉強を続けているシローズの生徒たちは他の塾に通う生徒たちよりも随分と苦労をしているように思います。なぜなら定期テストで高得点を取るためには、彼らは偏差値という…本物の学力に近い力を持つ必要があるからです。
でもその苦労が高校入学後に役立つ本物の力となり、社会に出たときに花開くことを祈るというのは、「先生」と呼ばれる仕事をするものたちにとって、極めて必要な資質のように私には思います。

2014年11月1日土曜日

私立高校の特待制度を思う



私立高校の特待について、書かせていだだこうと思います。
皆さんがご存知だとも思うのですが、一応書かせていただきますと、特待とは私立高校の受験で、成績優秀者に入学金や授業料を減額または無料にする制度です。ほとんどの私立高校で、この特待と呼ばれる制度はあると思います。ただそれを表に出している高校とそうでない高校がある。
表に出している高校というのは、特待制度をその高校の宣伝に使っている高校だと思います。確かにこの方法はかなり有効なようで、かつてはあれ程レベルの低かった県内の某私立女子高校は、男女共学と同時にこの方法で上の下の地位を完全に手に入れたと思うし、ちょっとデラックスな新校舎を建てたもの定員割れが続いていた県境にわりと近い都内の某私立女子高校も確かにレベルを上げ、中の上ほどの地位を手に入れている。
そうかと思うと、特待制度を表に出していない高校であっても受験をしてみると、特待制度があったりもする。実はそうなのです。特待制度はどこの私立高校でもあると考えていいと思います。

なぜ私立高校に特待制度かあるかと言えば、それは生徒確保のための手段だと思います。それも出来るだけ学力の高い生徒を確保するため。なぜ学力の高い生徒を確保する必要があるかと言えば、大学受験での実績を出すため。なぜ大学受験の実績を出す必要があるかと言えば、それによって生徒が確保できると、高校側が考えているからだと思います。
つまり私立高校の特待制度は、私立高校の生徒確保のための手段だと考えるべきだと思います。

ここで私は思うわけです。私立高校の真の姿を、中学生を我が子に持つ保護者の皆さんがどこまで気づいているのかと…。
かなり前にこんなことがありました。私の娘が中学3年生になったとき、家内を塾向けの私立高校主催の説明会に随分と連れて行きました。家内は高校の説明会に行く度に、帰りの電車やクルマの中で、今日行った高校の素晴らしさを口にしていました。その度に私は心の中で思うわけです。「違うんじゃないかな…」と。

いまどこの高校の説明会でも、舞台の上でその高校の素晴らしさをアピールする教員は、その高校でいちばん人受けの良い、いちばん話のうまい教員が務めていると思います。公立高校しかり、つねに経営を考えならなければならない上に、理事長という絶対的な権限を持つトップがいる私立高校ではなおのことだと思います。理事長というトップが高校教育を第一に考えているうちはいいのかもしれませんが、どうでしょうか? なかなかそういう私立高校は少ないように思いますし、それは教職員たちの勤勉さに乱れを生じさせます。その上公立高校の校長は、評価により当然責任を問われることもありますが、私立の理事長は法律に触れるようことをしない限り、責任を問われることはないはずです。そうすると、入学する前に想像していた高校イメージと、入学してから気づいた実際の高校のイメージがかけ離れていることがあるのは当然…くらいに思うべきかもしれないという考えが浮かんできます。

そこまで考えた上で特待制度を思うとき、私はいまの私立高校特待制度に不安を感じます。そしてもしかしたら特待制度は、現代の「新聞奨学生」なのではないか?との思いにつながるわけです。
いまはどうか分からないのですが、むかし大学の周りには学生たちを住まわせる新聞配達所がありました。彼らは朝夕の食事と住居と授業料を提供され、大学生活を続けるわけです。朝はまだ暗いうちから起き、バイクや自転車で新聞を配達し、大学で授業を受け、部活やサークルの活動など一切せずに、授業が終われば今度は夕刊配りが待っている。そして彼らは夕食後も仕事をしていたように思います。つまり彼らは食事と住居と授業料を提供される変わりに、一般的な大学生たちが味わうはずの自由な時間を失わなければならなかった…と思います。
現代の奨学制度もこれに似ていると、私には思えます。確かに入学金や年2回から3回に分納すべき授業料は免除となりますから、ご家庭の負担は限りなく0に近くなります。しかしその分、負担はさまざまな形で、高校に通いはじめてからの子どもたちの生活に押し掛かることになるのではないでしょうか。一般的な高校生たちが体験する教職員や先輩から受けるであろう助言も、友人同士の会話や思い出etc.…それらすべてが犠牲になる代償として、入学金や授業料が免除されるということを保護者も受験生も覚悟する必要があると思うのです。
特待でなくても、大学受験を目指せば、日々学習に追い立てられることになるとお考えの方もいると思います。でもそれは自分が決めたペースで、自分のためにする勉強です。ところが特待になると、自分のための勉強ではなくて、その私立高校のための大学受験になってしまうような気がします。
自分の学力レベルの高校ではない、それよりも低い高校を受験して、入学しなければ特待は絶対に出ない。ということは、自分に合う環境とは違う…はるかに成績で下の環境を選ぶ見返りとして、授業料等の援助が出されているということを忘れてはならないと思います。最近気になるのは、こうした私立高校の特待制度を利用しようとする安行地区・新郷地区の保護者たちが目立って増えてきていること。一部にはそれをブランドのように解釈している方まで出てきているのではないでしょうか。

私は思うのです。特待を決して安易に考えるべきではないと…。
100人の受験生がいれば、100人の受験生の事情があり、100軒の家庭の事情がきっとあると思います。だから決して特待制度を使って、高校に入学する生徒を批判したいわけではないです。でも特待を安易に考えるには、あまりにも代償の大きな選択のように私には思います。

補足ですが、埼玉県では県内の私立高校にお子さんを通わせているご家庭に補助金が支払われています。上限はありますが、家庭収入によって年間20数万から30数万の補助金が出されている模様です。