2020年5月31日日曜日

不安が募る…高校入試

高校入試で、入試過去問題の演習はかなり状況を好転させる。
とくに数学という教科において、それはとくに顕著で、例えば偏差値が50前後であれば、確実に3程度はあげることになると思うし、偏差値が60を超えた生徒であれば、問題によっての得点の上下動はかなり少なくなる。

ただやみくもに入試過去問題を解けば良いわけではなく、そこには確実に解けない問題、分からない問題をどう解るようにしていくか?ということがポイントとなる。
このこと、少し前に駅の近くの大きな書店の問題集売り場でも感じたことなのだけれど、小学生・中学生の問題集の棚の前でたくさんの保護者らしき方たちを見かけたのだけれど、問題なのはどの問題集かではなく、分からない問題をどのように解るようにするのか?という解き方の方なのだと思う。
入試問題の演習にしても、そのことが大いに言えて、ただやみくもに問題集のページを進めるという解き方は、結局分からない問題をそのままに…、ただ解る・解ける問題だけを解くということに陥りやすい。
これは僕の経験だけれど、この地域の中学生では成績上位にあたる偏差値55から60程度の生徒にしても、意外に分からない問題を飛ばしている生徒の割合は多いと思う。もしかしたら偏差値60の境目は、分からない問題を飛ばしているかどうかなのかもしれない。

話が横道に逸れてしまったが、いまこの入試過去問題の演習のメリットを活かせなくなくなる可能性が高まっている。
今月14日、文科省は各都道府県の教育委員会に通知を出している。
各地域の中学校の休校による学習状況を踏まえ、出題範囲や内容に適切な工夫をすることなどを求めるというものだ。
僕がこのことを知ったのはその前日の夜の報道番組のテロップだったが、一瞬身体に衝撃が走った。その衝撃は、入試過去問題を使えなくなるという連想に繋がった。

埼玉県教育委員会の発表はまだない。
入試過去問題を使えないことに関して、英語・国語・理科・社会はそれほど大きな問題にはならないのかもしれない。削除される単元は出てくるだろうが、得点の中でその単元が占める割合は少ないと思われる。
だから入試過去問題の演習をすることも可能ではないか?と思っている。もちろん指導する講師が、問題演習の前後でこの範囲は入試範囲でないと説明することが必要となる。
このことで一番被害を被るのは数学となると思う。

去年までの県入試で、50の偏差値の高校を受験するのならこの単元、60の偏差値の高校ならばこの範囲とこの範囲…というような必須単元があったように思う。それを抑えておけば大きな失敗はないという単元である。
そして県入試の数学においては、中1範囲の先に中2範囲があり、その先に中3範囲があって、そして入試があるという流れでは解けない内容になっていた。ここ5年ほどの県入試の数学問題は、難易度がかなり上がってきていたのだ。
だから私立入試が終わった頃から、この地域の高校入試に特化した学習が必要になっていた。でもそれが、この地域全体ではなかなか進んでいなかった。

その結果この地域で数学は5科の中では最も得点の取りにくい教科になっていたし、よく思うのであるが、この地域の中学生たちの公立入試での数学の平均点は30点を下回っているように思う。
ただここには逆説も同時に成立していて、数学の得点の落ち込みがなければ入試結果は一気に好転する。そしてその好転するためも最大の材料が入試過去問題であった。しかしそれが使えないとしたら、いったいどうすればよいのだろうか?

一つ解決策があるとしたら、塾で学習する単元ごとの学習の中で難易度の高い問題を演習していくとの方法ではないかと思われる。ただここにも問題があって、受験モードになっていないこの時期から、県入試レベルの難易度の高い問題を演習することの難しさがある。
思春期の真っ只中、休校によって様々なストレスを感じているこの地域の中学3年生の何割にそれが可能なのか?との問題が、今度は付きまとうことになる。