2014年10月19日日曜日

処理能力を身につけるということ

中学生たちの高校受験に立ち会う仕事を始めて早20年、どうすれば中学生たちの成績が上がるのかを、いつも考えている僕は思うのです。高校受験のための勉強を始める前に、やっぱり処理能力を上げる必要があると…。
もしも高校受験を目指す勉強を始めるときまでに処理能力が上がっていないとすると、勉強しても勉強しても学力が上がらない。あるいは、受験のために何を勉強すれば良いのか分からなくなる可能性がある。

最近、僕は感じるのです。受験生たちの成績を上げる難しさを…。以前ならば、あと偏差値で3ポイントから5ポイントくらい上げることが出来たのではないか。でもそれが、年々難しく感じられるようになってきた。これも処理能力に関係しているように僕には思う。
ここで言う処理能力というのは、たぶんこんな能力だと思います。
3つから5つのことを同時に頭の中で考えてそれぞれの答えを出す。その複数の答えから1つの答えを導きだす。これが出来るようになると、成績はたぶん勉強時間に比例して上がっていくのだと思います。でも処理能力が身についていないと、成績は上がりづらいものになってしまうのではないだろうか。あまり好きな言葉ではないのですが、「頭がいい」というのは、もしかするとこの能力のことではないのか。僕は、最近そう思っています。

高校受験は知能指数の勝負ではなく、努力の量の勝負である部分が多い。そして安行地区・新郷地区の場合、人間力を問われる部分が多くある。しかし高校受験を目指したときにいくら努力をしたとしても、産まれ…物心がついた頃から家庭で適切な教育がなされ、順調に成長してきた子どもたちであったとしても、処理能力が身についてないとすると高校受験の場で戦うことが出来ないのではないか。最近、そんなことを僕は考えています。
この、3つから5つのことを同時に頭の中で考えてそれぞれの答えを出す。その複数の答えから1つの答えを導きだすというのは、本来小学生のうちに学ぶべきものなのだと思います。
学ぶべき…というよりも、小学校の授業は本来、それを目標として行われているのではないか?との思いがあります。
実際に県内でも小学校の授業レベルが保たれている地域では、多数の子どもたちがこの能力を身に付けているようです。ただ残念なことに安行地区や新郷地区では、身につけるということが稀になってきてしまっている。悲しくて、苦しくなってしまうけれど、それが現実…。

宣伝のつもりはないのですが、いまシローズでは何人かの小学生の皆さんに、この「3つから5つのことを同時に頭の中で考えてそれぞれの答えを出す。その答えから1つの答えを導きだす」ための指導を行っています。
育伸社という会社の「錬成テキスト」というテキストを使った算数の授業です。
ただこの授業、シローズでは一風変わった進め方をしています。
教えないんです。かなり難しいテキスト(中学受験の内容まで…ということは、中学学習内容も一部含んでいます)ですから、生徒たちは頭の中で???…ばかりになるようです。
でも僕は教えないんです。さらに考えてもらって、今度はヒントを伝えます。また考えてもらって次のヒントを伝える…あえて、そんな授業形態にしています。

保護者の中には、苦情を寄せてくる方もいます。「分からないのに、説明してくれない/質問したいときに先生はいない/分からないのに何で教えてくれないんですか etc.…」
でもこのテキストを使って、生徒が一生懸命考えて進めると、「3つから5つのことを同時に頭の中で考えてそれぞれの答えを出す。その複数の答えから1つの答えを導きだす」という能力が次第に身についてくるようです。この子たちには1人で問題を考える過程で不思議と逞しさのようなものも身についてきますから、処理能力という学力面だけでない人間力も同時に身についていくようです。それにこうした3つから5つのことを同時に頭の中で考えてそれぞれの答えを出す。その複数の答えから1つの答えを導きだす能力(処理能力…?)って、将来の仕事にも役立つのではないかと思えるのですがいかがでしょうか。