2016年11月28日月曜日

2016冬期講習会を前に、塾長は考える

もうすぐ12月になるこの時期、塾に来てくれている中学3年生の保護者の方から受験校に関する相談を受けます。たいていは私立の受験校であることが多いのですが、その相談の中で、話がどうしても公立の受験校の話になることが多いです。
それだけ我が子が、これからどんな高校でどんな生活を送るのか?ということに対する不安や期待が、保護者の胸の中で渦巻いているのだと思います。

ここでシローズの塾長は、迷いながら、そしてやや躊躇しながら思うのです。
もしかしたら高校の合格には、成績だけでなく、人間としていや人物としてその高校に見合うのか?という秤が必要なのではないかと。
ただしこの秤には、成績のように他の受験者たちの得点の分布はこうで、あなたの位置はこの辺りという偏差値のようなものはないのだと思う。でもたとえ見えなくても、やっぱり毎年受験結果が出て、そのときは悔しかったり、時には無情に近い感情が胸の中にこみ上げてきたとしても、一月が経ち、塾はその頃は新年度の真っ只中で、落ち着いて、それからある意味客観的に前年度の高校受験を振り返ってみると、感じるものがあるのです。
成績のためだけで不合格になったのではない。むしろあの子には不釣り合いの高校だったのではなかったのかと…。
だからやっぱり中学生たちは、中学校では先生の言うことを真剣に聞いて、部活を必死にやり、友達に対する思いやりを持ちながら、勉強も一生懸命やらなくてはならないのだと思う。それがその高校に見合う人物になれるのかに近づく唯一の方法だと思うし、受験の神様が微笑む唯一の方法でもあるのだと思う。

塾生には、先週から配らせていただいているのですが、冬期講習会の案内を作らせていただきました。冬期講習というと、やっぱり中3生がメインというのはあるのですが、もちろん小学生クラス、中1生、中2生の皆さんについても、僕の方はかなり真剣です…。

中3クラスについて少し説明をさせていただきますと、今年も行うのは前年の公立入試問題の演習と解説です。今年はこれを上位クラスでは10回、下位クラスでは5回行います。下位クラスがなぜ半分の5回なのかというと、解説により時間を割きたいためです。あとこのクラスがだいたい偏差値が50台前半までの生徒を考えていますので、連日のテストでは消化不良を起こしてしまうのではないか?との心配もあります。それよりもたっぷりの時間の中で、暗記や演習も含めながら解説を行った方が効率がいいようにも思うわけです。
公立高校の前年の過去問題の演習を行う一番の理由は、中学学習範囲の総復習を行いたいというのがあるのですが、どのくらいの学力を12月末から1月初旬の時期に持っているのか?を確認するためでもあります。
最近とくに思うことですが、学力って何種類ものものがあるように思うのです。北辰テストやUPテストで高偏差を取る学力、校長会テストで高得点を取れる学力、そして中学の定期テストで高得点を取る学力と様々です。本当は全部で良いのが一番良いはずですが、これがなかなか難しい。塾が一番に努めなければならないのは、いまの受験のシステムにおいては、やはり高校入試で高得点が取れる学力の養成だと思います。そうすると、どうしても昨年の入試問題でどれくらいの得点が取れるかを知りたくなるというのが本音としてあります。

少し話が脱線しますが、一人の生徒には様々な学力があって、どの模擬試験が一番公立高校向きかというと正直言って分からなくなっているというのがあります。きっと私だけではないと思う。中学校の先生方も、それから大手の塾の講師たちも、偏差値と呼ばれるものの信頼度が年々下がってきていると感じているのではないか。模擬試験の精度が低くなっているのもその要因だと思うが、一番の理由は入試に新価値観的なこれまでとは違う…まるで隙間を狙うような問題が公立入試に登場してきていることと、中学生たちの学力の低下、さらには県のお偉いさんたちが盛んに人気取りのために意見を言い合っていることもやはり要因であろう。
そこに来春の受験からは選択問題と共通問題のくくりまであるわけで、どの模擬試験が受験生たちの学力の判定に向いているのかといえば ???という状況なわけです。とすると、やっぱりこの時期に実際の入試問題を解いてもらって、入試を想定した時の学力をチェツクしたいという思いに繋がるわけです。いま私の中での塾生たちの合否判定は、この冬期講習会の平均点が二番目となっているわけです。では一番は何かと言えば、入試の直前、つまり2月中の授業の様子です。自分で授業をして、自習している様子を見て、話をすると伝わってくるものがあるように思います。

講習は昼食持ちで朝8時に始まります。50分間の昼食を挟んで上位クラスは1840分まで、基礎クラスは1730分までびっしり続きます。それを冬休み中に11日間(最後の1日は夜の時間に私立問題演習となります)、本当はそこで終えるつもりだったのですが、何だか忘れ物をしたような気になって、基礎クラスの皆さんには希望者限定のオプションを用意しました。それが「プラス夜講習」です。たいていの生徒の皆さんは、講習が終えると…、今日の勉強は終わった…という感じになってしまうのですが、本当はそこからが大切な時間なのだと思います。数学や理科では、もう一度解き直してみる。英語や国語では、間違えた原因である単語や言葉の意味をもう一度調べてみる。社会では間違えた単元の範囲の教科書のページをもう一度読み返してみる…などなど。
上に書いたこれを担当した講師のもと半強制的に行うのが、この「プラス夜講習」です。


この内容の講習を受ければ成績が上がるのか?と問われれば、僕の答えはYesです。ただ心配なのは、講習後に中学校が始まって、思いっきり各中学の空気を吸うと、一気に脱受験生となってしまうような気がしてなりません。それが今の僕の大きな不安となっています。やっぱりこの地域の中学校は、いやそこに通う中学生たちは間違えた価値観を持ち始めているのではないだろうか。

2016年10月19日水曜日

国語 > 数学「 非常に厄介な教科… 」

シローズの場合、数学という教科は塾長である僕が、その他の4教科は講師たちが教えるというのがスタイルになっている。そして北辰テストなどの模擬試験では、塾内平均で僕の教える数学が他の教科に比べて高い偏差値が出ている。もちろんこれは僕の教え方が良いというよりも、むしろ塾長である僕の塾内での影響力のためではないかと思う。

数学という教科は、非常に厄介な教科だ。
英語や他の教科のように勉強をしただけ成績が上がるというものでは、どうもないらしい。小学校入学以後の算数があって、その日々の積み重ね…が、模擬試験の偏差値やら、高校入試時の得点を作る。
また精神状態の影響が出やすい教科なのだと思う。これも英語や他の教科とも違う。気持ちの波によって、同じ問題であったとしても、解けない日があったりする。また逆に何日か前に解けなかった問題が、いとも簡単に解けたりすることもある。
だから数学は、非常に厄介な教科なのだと思う。

さらに厄介なのは、先日のブログにも書かせていただいたことにも関係するのであるが、小学校の算数授業が「考えること」から「理解すること」により重視されて来ていることも、その厄介さを増すことにつながっているように思う。

塾を始めてからというもの、計算中心の算数の習い事をしてきた生徒が塾に来ると、一切文章題を解こうとしない態度に驚かされることが何度となくあった。彼らは早く計算問題を解くことが算数あるいは数学だと勘違いしているのだと思う。それと同じことが、前述の小学校授業が「考えること」よりも「理解すること」に重視されていることにも言える。文章題を解けるようになってもらうために考えることを生徒に求めても、「なんで教えてもらえないのか?」との反応が多くなってきてしまっている。

またこんなことも起きている。比較的指数が高い生徒の場合、「考えること」の時間的・内容的量が少なくても定期テストの高得点と、模擬試験での高偏差を取る中学生がいる。しかしこうした生徒に限って、中学3年生の2学期以降、急に成績が下がるケースがある。
たぶんこれは、「考えること」ではなくて、「理解すること」で問題を解いてきたためではないか。同じことは、例題を見て参考にしながら解くという解き方にも言えるかもしれない。
こうした数学の勉強の仕方は、子供たちの学力の伸びを邪魔するばかりか、高校入学後一切数学が分からなくなることにも繋がってしまうようである。おそらく理系の大学への進学は無理であろう。中学3年生の途中で、大学はほぼ私立文系と決まってしまうといのは悲しいことだ。

こんなことが言えるかもしれない。
数学以外の英語など4教科はお正月に飾る鏡もちではないか…。苦労してもち米を蒸し、苦労して餅をついて、熱い熱いと言いながら丸めて、もう硬くなっている鏡もちの上に乗せる。当然苦労してたくさん丸めることができれば、鏡もちの高さは高くなる。この高さが学力の高さを意味する。と、そんなものなのできないだろうか?
だから数学以外の科目は、急に努力をしたとしても、その努力の大きさによっては成績を上げることができる…そういった傾向があるのではないか?

しかし数学は、こうはいかないと思う。きっと鏡もちは鏡もちでも、土台が必要な鏡もちなのだ。土台がしっかりしていないと、蒸して、ついた餅を重ねることができない。この土台がしっかりしたものになるかというのが、小学校入学以降どのように算数を勉強してきたか?なのだろう。

と、ここまで書いてきて、シローズの塾長はあることに気づいてしまっていた。数学以外の英語など4教科という言葉を使って来ているが、もう一つ厄介な教科があるのに気づいてしまったのである。それは国語である。

シローズでも、去年の中3生で1人、そして今年も国語の学力が他の教科に比べて異常に低い生徒が出てきている。
彼らに共通するのは、真面目に勉強してくれているのに成績が思うように上がらないということだ。これは私の想像なのであるが、国語力の無さが他の教科の成績上昇にブレーキをかけているようにも思えてくる。

彼らは言葉の意味を知らないのだ。それも中学3年生のレベルとしては、異常なほど知らない。小学校入学後、何も問題なく過ごしてきた彼ら…おそらく模範生に近い彼らが、なぜこのような壁にぶつかってしまうのか? 不思議に思えてならない。


数学もそして英語など残りの3教科も、いくら苦手であったとしてもその教科だけの話である。でも国語に限っては違う。他の教科の成績までを下げる。一番厄介な教科かもしれない。

2016年10月16日日曜日

続・中1プロブレム「分からない事を考える…」という関門

シローズの中学生クラスは、たぶん数学が分からなくなる。そのうち英語も分からなくなって、次は国語が分からなくなる。

これって、変でしょうか?
おそらく保護者の方の中には、毎月安くはない月謝を払っているのに、子供が分からないと言っている…との疑問を持つ方たちがいると思います。
そして中学生となった子供たちは悩んで…、シローズという塾に通うことに疑問を持ち始める。そんな頃に中学の定期テストがあったりすると、上がらない学年順位がさらに生徒たちのやる気を打ちのめそうとしてくる。
いまシローズの塾長が、塾を運営する上での一番の悩みはこうした中学1年生たちの続・中1プロブレムである。

どうもいま、子供たちは分からない…という感情を持つことに慣れていないらしい。
それにはおそらく理由があって、学習というものが始まる小学校入学後に学校で授業というものを受けてからというもの…授業が分からない、あるいは宿題が分からないという経験がないのだと思う。そしてそういう授業をなぜだか、小学校側も求めてきている。

この流れは、強い。
なんたって小学校の先生たちは子供に関わるプロであり、勉強を教えるプロであり、そのために教材研究やら授業の研究を日常的に行っている。そしておそらくそれを行っている教員たちの学力は国内平均以上で、何よりもその人たちは子供たちを説得することにかけてはプロ中のプロだ。
その人たちが本気で、幼稚園や保育園を卒園した小さな子供たちに、「勉強は難しくないですよ。ほら授業中に先生の話をしっかり聞けば分からない問題なんてないでしょ…」というような言葉を送り続ける。その結果小学校を卒業した子供たちは、勉強は授業を受ければすべて分かるという価値観を身につけて中学生になるのだと思う。そしてその傾向は年々高くなっているのではないか?

そして中学生になった子供たちが、希望を持ってシローズに入塾する。僕も私も○○くんや□□さんのように、△△高校に入れるかもしれない…。そんな希望を持って、シローズにやってくるのではないか? 彼らは、当然塾は分からないことを何でも教えてくれるものだと思っているはずである。
ところがシローズは、ほとんどのクラスの授業で分かるまで教えることはしていない(学力が低い生徒のクラスの一部で、分かる手前まで教えることはしている)。とくに数学では、必ず生徒が考える部分を残して説明するようにしている。これは塾長の私ばかりでなく、シローズで働く講師一人一人の共通認識として存在する。ということは、これまでに味わったことのない苦痛と不安を生徒たちは味わうことになる。
その結果、元気を無くした中学1年生たちは保護者にシローズの不満を口にする。「〇〇ちゃんの行っている塾は、楽しいらしい」とか、そんな話が出るのだと思う。困り果てた保護者は、その〇〇ちゃんのお母さんあたりに、〇〇ちゃんの通う塾の評判を聞いたりする…。そして、〇〇ちゃんの塾に見学に行くことになるのではないか。見学に行ったその家の子供は、「授業が分かりやすかった」などという言葉を口にする。それを聞いた保護者は、「シローズを退塾」→「〇〇ちゃんの通う塾へ入塾」という流れを選ぶのではないか。

そうした生徒がその後どんなことになるのか?といえば、やはり成績はあまり上がらないようです。
その理由は、中学入学後の勉強が「分からない事を考える…」ということが基礎になっているからだと思う。つまり分かるまで教える。あるいは何でも質問ができるという環境では、高校受験のために必要な「分からない事を考える…」という力が身につかない。身につかないから、成績が上がらない…という悪循環にハマってしまうように思います。たぶんこうした子供たちは、数学が中1の二学期から分からなくなり、中学2年生からは英語が分からなくなり、気付いた時には国語の偏差値が低いことに悩むのではないでしょうか。
中学入学後、1年生1学期の中間試験の成績が一番良かった生徒というのは、この悪循環にハマっている可能性が高いかもしれません。

何でこんなことになってしまうのか? と、小学校授業の問題を指摘しても、中学の先生の問題点をあげてみたとしても、結局は成績が上がることはないのだと思う。やっぱり「分からないことを考える…」という過程を通る必要がどうしてもあるのだと思います。

そして安行地区や新郷地区のような学力が著しく低い中学に通う子供たちの進学先が成績上位校でないケースが異常に多いのも、この悪循環に起因しているように思います。



今回は、ちょっとだけシローズの宣伝をさせてください。

12月から「小5、小6英語クラス(毎週月曜日18:0019:00)」を開講いたします。
他の塾さんの英語クラスとの違いは、中学使用教科書のNew Horizonを使い、高校受験までを考えて、〈しゃべること〉や〈聞くこと〉よりも《書くこと》に重点を置いた指導をさせていただきます。
アルファベットの大文字・小文字を完全に理解していることを履修の条件とさせていただきます。興味のある方はお問い合わせください。