2013年3月27日水曜日

頑張れ、中学生たち


 今週から春期講習会が始まっています。
 昨日からは新中1ゼミが、今日からは小学生ゼミが始まります。2日間講習をして、他の講師たちからの報告も聞いて感じたのは、安行・新郷地区の小学校の算数授業のレベルの低さです。
 授業の成果が児童まで届いていない。あるいは学級運営のために、子どもたちへの学習指導が二の次・三の次になっている。このために、中学生となったいま、小学生学習範囲の不足が足を引っ張り、カリキュラムが進まない状況にある。分からないということに馴れてしまっているために、数学だけでなく他の科目にまで影響を与えている。その上これが一番の問題だと思うのが、それが本人も保護者すら気づいていないことが多い。勉強に対する苦手意識がないために、小学生のうちにその補習が行われず、高校受験を考える時期になって、はじめて塾に通いだす。それは塾にとっては、大変ありがたいことではあるけれど、塾の講師たちにとっては、「どうやって成績を上げるか?」という壁にぶつかることになる。
 成績を上げるには、まず上げる土台が必要となる。土地と野菜の種だけをもらっても、畑を耕してからでないと作物が育たないのと同じように、中学生になって塾に来てくれた子どもたちには、まず下準備が必要となる。具体的には、講師の説明の通りに学習をするという柔軟性は絶対条件だと思うし、それを家庭で復習するときの家庭学習の習慣も必要となってくる。それと分からないところをしっかりと質問するという積極的な性格も必要だと思う。そうした土台ができてからでないと大きく成績を上げることはできないし、ということは、たぶん市立川口高校以上への合格は難しいということになると思います。
 ただこうして入る高校の受験の結果には、知能指数であるとか、さらには頭が良いとか悪いということは、あまり関係がないと思います。むしろ小学生のどの時点で適切な勉強を始めたか、ということの方が大きく影響すると思います。




 

2013年3月25日月曜日

「ヤツ」に会いたくて、


 今年もシローズを去る先生が3人います。そのうち2人は、まだ4月からも学生であるわけで、ときどきはレギュラーの先生が都合の悪いときなどに顔を見せてくれると思うのですが、YS君は4月から社会人となりますので、サヨナラとなります。大学生の4年間、それから大学院の非常に忙しい2年間、お世話になりました。そして新たに4月から大学生になる新しい2人の元生徒である先生たちが、小中学生の皆さんの指導をしてくれることになっています。
 新しい先生たち2人を、私はとても期待しています。もちろん2人とも良い子たちですし、シローズで頑張って成績を上げた子たちですから、きっと生徒の皆さんに良い影響を与えてくれるものと期待しています。

 ただちょっとだけ残念なのは、新しい先生の中に、私が気になる「彼」がいないことです。「彼」というのは、以前facebookに書かせていただいた元生徒である「彼」です。
 もう「彼」と呼ぶのはやめにして、「ヤツ」と呼ばせていただきます。
 「ヤツ」は中3の1学期の終わりまでは、問題の多い生徒でした。自分勝手で、まるで世の中が自分中心に回っているとでも言いたいような世間知らずなのに、妙に友だちに愛されているような男の子だった。そう、かつての生徒で大学時代に先生をやってくれたお兄ちゃんたちとは違う、末っ子ならではの無鉄砲さもあったように思う。
 「ヤツ」が変身したのは確か中3の夏休み前でした。つまらないことで私と口論になったとき、一歩も引かない彼と、また一歩も引かない私。そんな私たちを、周りにいた先生たちは苦笑いを浮かべながら、遠巻きに見ていました。私の胸と彼の胸がぶつかっても、彼も一歩も引きません。たぶん彼のルールではそれは許されるべきこと、でも私からすると、それを許したら彼だけ特別扱いになってしまう。生徒はみんな平等である。もしも誰かに特別扱いをするのなら、その子には特別な努力を見せてもらわないと…、それが私の考えです。
 そして授業の開始時間になって、私は「ヤツ」に言いました。
 「あなたはこのクラスの中では2軍でしょ。いわゆる補欠ですよ。サッカー部の補欠がね、部室でそんな大きな顔をしていたら、みんなに怒られるでしょ」
 確か私は、そんなことを言った記憶があります。
 それがどう彼に影響したのかは分かりません。ただ一週間ぐらいしてから、彼の態度は明らかに変わりました。もちろん自分だけ特別扱いをしてもらう…という彼のスタンスは変わりませんでしたが、めちゃくちゃ努力をし始めたのです。
 朝は6時過ぎに塾に来る。夜10時の授業が終わっても帰らずに、残って勉強をする。それを彼は3月のはじめの公立の受験まで続けてくれました。ただあい変わらず、彼は自分が特別扱いをされることを、気づかぬうちに望んでいたようです。勉強道具を片さずに中学に行く。そろばんクラスの授業をするために教室に入った家内が、彼の荷物を片さないと仕事に入れない。そんなことも何度かあったようですし、塾の鍵を彼に貸していたのですが、ある日鍵を忘れた彼が、早朝私の母をチャイムで起こしたというようなことも一度ではなかったようです。
 結局彼は確約が取れなかったはずなのに、県内ナンバーワンの私立高校に入学しました。ナンバーワンの公立高校に落ちてしまったんですね。このときの彼の落ち込みは、ものすごく大きかったようです。そして私もひどく落ち込みました。 
 彼が塾に来たのは、公立の発表から2日が経ってからでした。受験当日に行われた塾のお別れ会に彼は来なかったんですね。来たけれど、私のいるうちには来なかった。私に会いたくなかったのかもしれません。
 鍵と貸していたテキストを持って塾にやってきた彼は、私が事務所に顔を出すのを待っていたようでした。
 「これ、ありがとうございました」
 確か彼は、無愛想にそんなことを口にしたと思います。
 そんな彼を見て、私は涙が出てきました。
 「公立は落ちちゃったけれど、お前は俺の誇りだから」
 それを言うのが、精一杯でした。

 あれから3年が経ち、彼は4月から大学生になります。都心の大学ならば、先生をやってもらえないかな?と思っていましたが、彼は関西の大学への進学が決まったそうです。後期で合格したということです。

 「あなたらしい大学の決め方だと思います。小さくなんかまとまらずに、あなたらしい人生を送ってください。
  あなたに出会えたおかげで、僕は塾を続ける勇気と情熱を持つことが出来ます。あなたのような中学生に、また出会えることを期待して、心からおめでとう」




2013年3月8日金曜日

春期講習会を前にして


シローズに入塾して70前後まで偏差値を上げ、高校入学後も希望を持って頑張っている元生徒たちには、ある特色があるように思います。まず体力がある。入試直前のとくに11月以降、睡眠時間5〜6時間程度でも体調を崩さない。それでいて疲れているという様子を見せない。ときどき眠そうなとき(自習中や授業中、気づかぬうちに寝ていること)もあるけれど、妙な暗さがなくて体全体から明るさが出ている。つまり誰から見ても根暗には見えない雰囲気があったように思います。
 そして問題の成績のことですが、中学の成績と入試の力(いわゆる偏差値)が別物であることを理解している。これは本人だけでなく、その保護者も理解していることが大切です。いくら生徒である子どもたちが偏差値を上げようと努力していても、例えばお母さんの興味が定期試験ばかりに向かっていては、偏差値を上げる勉強に継続性がなくなるわけですね。ただ私は定期試験の成績であるとか、内申点と呼ばれるものを無視しようとしている訳ではないです。ただそれが絶対条件ではないと言いたいだけです。
 受験のために偏差値を上げるための勉強をする。この努力は、もう小学校高学年からする必要がある。いまの小中学校の授業のレベルを考えると、それは十分にあると思います。そうして偏差値を上げる過程で、内申点が上がっていくのが理想であると思います。ここで大切なのは内申点が先にあって、その後に偏差値があるのではなくて、その逆だということ。いまの川口市内の一般的な中学校の授業レベルで、65以上の高校(蕨・越谷北以上)に合格しようとすれば、あくまでも偏差値の上昇が先にならないと難しい。その後に内申点の上昇と維持が必要になってくる。内申点が先だと、受験までに偏差値が間に合わない可能性が大いにあるから。やはり保護者の方たちがあまり定期試験の順位に敏感になり過ぎないことが大切だと思います。「前回は3位だったのに、今回は10位になった。なんで?」なんて思わないで、お子さんを信用してもらいたいと思います。どんな中学生であっても、よほどの天才でもない限り、たいていの子は偏差値を上げる勉強をすれば内申点は下がるものです。安行地区の中学ならなおさらです。ですから、定期試験の1番は必要ないのかもしれません。その証拠に、塾で浦和高校や浦和一女に合格した過去の生徒たちも、中学で常に定期試験が1位ではなかった。内申点は合否のためではなくて、むしろ高校入学後の成績のために必要なのだと思います。いま内申点の必要性って、たぶんそれですね。高校入学後の中位以上の成績を維持できるか? これにはやはり、中学での内申点が必要だと思います。でも定期試験1位までは必要ない。3位でもときには5位でもいいと思います。
 さて、25年度入試が終わりました。自習のために来ていた生徒のために、朝早くからついていた蛍光灯は、いまでは授業中しかつかなくなりました。あれほどスイッチが入れっぱなしであったエアコンのスイッチもいまはオフのままです。
 誰か自習に来てくれる頑張り屋の生徒はいないでしょうか。春季講習会を前に、心の底から募集をさせていただきます。