2017年1月18日水曜日

安行中 my Love 「公立受験生が1月にやるべきこと」

埼玉県に住む中学3年生にとって、私立高校入試とはそれ以前の模擬試験の成績や中学校の成績によって、一部の上位数校を除けば、すでに合格が決められている入試である。
各高校の玄関を入ったところにたいていは受付があるが、どこの高校でもその脇で、過去5年間の入試問題が載っている一冊二千数百円過去問題が売っているはずである。では、その入試の過去問題はなんのために必要なのかといえば、やはり入試問題を解くためである。でもその問題を解いても解かなくても、12月末までにもう合否は決まっている。ではなぜ過去問題が必要なのか? どうだろうか…、保護者の中にはこの過去問題を購入する必要性を感じていない、あるいは購入を迷う方たちは多いのではないだろうか。そして中には過去問題を購入せずに、全く受験校の過去問題を見ない状態で合格通知をもらっている生徒だっているに違いない。

少し話を整理したいのですが、埼玉県の私立高校がこの合格の約束(以前は確約と呼んでいた)をするようになったのは、もう二十数年も前のことだ。それ以降、埼玉県内の私立高校と3分の1ほどの都内の私立高校で、入試前に合格を約束する制度が存在している。
各高校の個別相談に親子で出席し、「大丈夫です」という言葉をもらうと、もう不合格はない。一部で不合格者が出ているとも聞くが、私がシローズを始めてから、約束をもらった生徒に不合格者は一人も出ていない。
だから公立第一希望者が私立高校を併願校として受験する場合、二校・三校と受験するのは全くのナンセンスだ。時間とお金の浪費だけではなく、第一希望の公立高校の合格さえ危ういものになりかねない。

シローズがある地域の中学校では、数学の相似や三平方の定理といった中学3年生の二学期以降にやる単元がほぼ素通りされている。素通りとは、やらないわけではないが、丁寧な授業は行われていない。あるいは行えない状況にあるとの意味である。そうした中学生たちが通う塾であっても、どうだろうか? あまりやっていないというのが現状だと思う。中学で素通りしている中で、塾で進めるという状況が難しいことになってしまっている。というよりも、中学3年生が学習する相似と三平方の定理という単元は、やはり理解をするのに時間がかかる単元なのだと思う。122日から始まる私立高校入試に間に合わせるために、年内に学習を終えるということが年々難しくなっているという状況が塾側にはあるのではないか…。
シローズの場合、浦和・一女を目指すSSクラスというクラス以外は、相似の単元の途中で冬期講習会、それ以降は総合問題の演習という流れが中3指導になっている。
どうであろうか? シローズの周りの中学に通う生徒たちの場合、12月末または1月の初めの段階で、相似と三平方の定理の入試問題を完全でなくてもある程度まで解くことのできる中学3年生たちは、かなり少ないと思われる。
今年のシローズの冬期講習会の初日、入試問題の解説時に、上の相似と三平方を使った問題をほとんどの生徒ができていなかった。このほとんどの生徒の中には、65程度の偏差値をとる生徒が数名いたが、彼らであってもまだ解くことに慣れていない状況なのだと思う。問題を解き、解答が帰ってきて、その次に解説を聞いてやっと理解できるという状況ではなかったか…。

ここに私立高校の過去問が登場する必要がある。
私立高校の入試問題は偏差値が50前後の高校であっても、入試問題に平気に相似や三平方が顔を出す。したがってこの時期に私立高校の入試過去問を全力で解くかどうかには、私立高校の合否のためでなく、むしろ公立入試に影響が出るように思う。
おそらくこの時期には、まださまざまな種類の問題を解くというよりも、むしろ繰り返し問題をやる方が成果は出ると思う。おぼろげに頭に入り込んできた相似の問題、それから三平方の問題の解き方のマスターには、繰り返し…という作業が脳に定着させる力を持つと思われる。
数学だけではない。英単語や国語の言葉を増やす意味でも、私立高校の過去問演習は有効なはずである。

私は塾で、過去3年分の入試問題を二巡または三巡行うように言っている。それによって、シローズの周りの中学に通う生徒たちの苦手な数学の単元が身につくはずであるし、英単語を一気に増やせる期待が持てるはずである。
そして、私立併願校を2校以上受験するデメリットもここにあるのではないか。

2校、3校の問題を一度ずつ行っても、おそらくおぼろげな中3の単元のマスターにはつながらないはずだし、少なくとも単語力や語彙力のアップにはつながらないはずである。それよりも1校の問題を繰り返し行うことにメリットはあるのではないか。