2020年10月19日月曜日

いまもう一度、公立高校入試を考えてみたくなった

川口東高校で130点、鳩ヶ谷高校で150点、草加南高校で200点、川口高校で220点、草加高校で250点、越谷南高校で270点、浦和南高校で290点。

                                                                                       

選択問題実施校を考えると、市立川口高校が280点、川口北高校が300点、浦和西高校が320点、蕨高校が350点、春日部高校が360点、浦和市立高校が375点、大宮高校が390点、浦和一女が400点、浦和高校が420点。

 

上の得点は、公立入試で合格に必要な高校別の得点です。

意見がある方もいるかもしれないが、シローズでは毎年この得点をもとに受験指導をしている。

もちろんもう一つの指標である内申点も無視できないから、標準的な内申点に対して内申がマイナスであれば合格に必要な得点はさらに上がり、プラスであれば必要な得点は下がるということなのだと思います。

 

それから倍率についても同じことが言えて、1.5倍台まではこの通りでいいと思います。1.6倍を超えたとしたらどうでしょうか? 多少考えるかなあという感じです。1.7倍を超えたとしたら、入試得点を加算しなくてはならないと思います。

 

では資格はどうなのかというと、シローズの場合、あまり考えてはいない。

資格を考えなくても入試で得点が取れた生徒は合格し、取れなかった生徒は不合格になっているという記憶があるからだ。

 

資格のことで言わせていただきたいのは、資格を取るために学習する時間が惜しいと思うことがあります。とくに中学3年生になってからは、それどころじゃないのではないか? そんな想いに駆られることがあります。

もしも資格取得のために要する時間が、通常の塾授業に向かったとしたら、どんな結果が出るのだろうか? 僕の思考はいつもそこに行きついている。

 

実はこの地域の中学3年生たちのほとんどは、2学期以降北辰テスト等の偏差値を下げる傾向がある。

たぶん他の地域の中学3年生たちの、彼らはこの地域よりも高い国語力や思考力を小学校からの学校授業から身につけた子たちが部活終了後に勉強を始めるのが常だから、それに押されるように小学校からの授業で国語力や思考力を身につけてこれなかった子たちの大半が、勉強を始められずに高校受験の時期に突入する。その差が学力の開き、さらには下降を生むのだと思う。

 

それとその時期に数学の学力が下がる傾向があるようだ。

こちらの方は前述のような緩やかな偏差値の下降ではなく、一気にドタンというような下降となる場合がある。11月まで65以上の偏差値を取っていた生徒が、12月の北辰で一気に56まで下がる。そんなことを目にしたことは、僕にはある。

割合的にどうなのだろう…。もしかしたらこの地域の3割から4割の中学3年生たちが、大きく数学の偏差値を下げているのかもしれない。

そういう状況があるから、僕などは資格取得のための動向に疑問を持つ。

 

公立高校入試の残る一つの要素である問題の難易度はどうか?

実は選択問題の導入以降、この地域は入試問題の難易度の影響を強く受けている。

この問題、一言で言えば偏差値通りの得点が入試の本番で取れない…ということを意味する。

 

5人→15人→20人→21人 これは安行中学の過去4年の川口北以上の高校に合格した人数である。

4年前入試問題はかなり難しかった。選択問題だけでなく、学力問題の方も解きにくい問題が多かった。その結果、多くの受験生が公立高校を不合格になっている。4割が不合格だという人もいれば、6割近いのではないか。そんなことを口にした人もいた。

去年と一昨年、合格者が多くなっているのは、中3生たちが努力をしたということよりも問題が非常に解きやすかったことの要因が大きいような気がする。

 

この地域は入試問題の難易度が、即合否に結びついてしまう。

この原因を考えるとき、3つ事が頭に思い浮かぶ。

 

一つは、いまの入試問題が発想力と国語力のあるなしで得点の差が出やすいタイプのものだという点がある。

いま5教科とも国語力の影響を受けやすい問題が多くなっている。

国語の長文のような文章を読むことで、はじめて解ける問題が5科を通じて増えてきている。

そして発想力と言っていいのだろうか。数学では一般的な解き方では解けない問題が増えてきている。

9月と10月の北辰テストの中で、一般的なその単元の解き方では解けない問題が出されていたが、ああいった問題が入試で出題されると、なぜだかこの地域の生徒たちは解けない。それなのに一部の地域の中学生たちは平気で解く。

これは小学校からの授業レベルが大きく関連しているような気持ちになる。

 

県内の一部の中学3年生たちは、小学校入学以来、いやその前から国語力を身につけながら生活してきている。そして学校授業の中で発想力も自然に身についてきているのではないか。でもそれが身に付いていないこの地域の子供たちは、入試前の突貫工事的な受験勉強ではそれが身につかなくなっているのかもしれない。

そういった発想力と国語力の地域間格差が、難易度の高い受験になると見えない学力の違いとして出てきているように思う。

 

二つ目は、受験期の学習量の違いがある。

どうしてもこの地域の子供たちは勉強量が少ない。中には勉強している子もいるが、その子たちとはいえ県内の一部の地域では一般的な学習量なのかもしれない。

この地域のように学習時間が少ないことが一般的な地域では、平均的な学習時間は当然低くなる。そしてそれが一般的な受験勉強だと思ってしまうのだと思う。

ところが県内の一部の地域のように中学校の平均偏差値が60を超えるような地域では、部活終了後に学習をするということが一般的なことになっているのではないか。

この学習量の違いが、難易度の高い受験に対応できない地域と、対応できる地域を生んでいるように思う。

 

三つ目は、いま中学生たちと保護者の興味は中学の定期テストに向かっているように思う。それはこの地域だけの問題ではないと思う。

そしてそのニーズを受けて、ほとんどの学習塾はその対策に追われているのではないか。ただ、ここで問題が生じる。この地域の中学の定期テストは問題のレベルが低すぎるのだ。

 

だから塾は定期テスト対策として、授業のレベルを下げがちになる。そして生徒たちはそれに慣れ、保護者は点数や学年順位に一喜一憂しながらも、定期テストの先に高校入試があると考えてしまっている。

でも実際には、定期テストの問題と入試問題はレベルが違いすぎている。

こうした悪循環の中でこの地域の中学生たちは日々中学校生活を送り、高校受験に一歩ずつ近づいていく。

 

この地域のごく平均的な中学生たちの進学先である川口東高校で130点、鳩ヶ谷高校で150点という合格点は、定期テストを念頭に置いた学習をした結果となっているのではないか?

 

この地域の中学3年生は定期テストを念頭に置いた学習状態の中で、準備不足のうちに高校入試の時期を迎えているのかもしれない。そして大半の子供たちにとって、入試は初めて向き合う本格的な総合問題なのかもしれない。

北辰テストの経験はあっても、時間区切った形での公立高校の問題を初めて向き合った子供たちも大勢いるのかもしれない。

もしもそうだとしたら、入試問題に目が慣れないうちに入試を経験することになっているのかもしれない。

だとしたら、一般的な難易度の入試問題でも対応できないのに、難易度の上がった入試問題には一層対応できないのではないか?

 

 

前述の合格に必要な得点をもう一度見ていただきたいと思う。

安行・新郷地区の中学生たちのちょうど真ん中の生徒が入る高校が川口東高校、鳩ヶ谷・戸塚地区の中学生たちの真ん中の生徒が入る高校が鳩ヶ谷高校なのだと思う。

入試は1教科100点満点だから、川口東高校は1教科26点で、鳩ヶ谷高校の方は1教科30点で合格することになる。

 

100点満点で26点や30点という数字が意味するものを考えるとき、僕はいまのこの地域の高校入試の難しさを感じてしまう。

自然とこの地域の中学生たちの流れが川口東高校や鳩ヶ谷高校に向いているような思いさえしてくる状況がある。

 

そんな中では川口高校は進学校になっているのかもしれないし、市立川口は秀才の入る高校になっているのかもしれない。

ただこんなことを僕は経験している。

 

川口高校よりも少し高い高校の定期テストの問題を見た事がある。

基本問題と言っていいのだろうか。いや基本問題と言うよりも、明らかに点数を取らせようとする学校側の意思が感じ取れた。

しかしその高校に通う生徒たちは、その高校を歴史あるレベルの高い高校だと言っている。この辺の矛盾が、いまこの地域の中学生たちの多数が入学する高校にはある。

学校側が事実を伝えずに、励ますことに専念しているんだ。

 

でも考えてみると、いまを生きる子供たちは、励まされることに専念されているコミュニティーの中で生きているのかもしれない。

保護者は褒めることに専念し、我が子が迷わないことをいつも念頭に置いた子育てを目指す。

本来高校受験は、現実の世の中を見せる手段でもあるばずなのに、寄ってたかって、現実を見せない方向にこの地域は進んでいるような気がする。

 

202010月半ばすぎ、シローズに来てくれている中3生たちはかなり焦りを見せているようだ。

3ヶ月に及んだ休校の影響が確かにある。勉強をしようと言う気持ちが、この地域にいま渦巻いている、受験期になっても机に向かおうとしない妙な雰囲気に足を取られている。

 

先週木曜日に届いた北辰テストの結果はひどかった。

生徒たちの個別の偏差値だけを見て、事務所のテーブルに置いたままにしていた北辰から送られてきた冊子の内容を見ていたのは、塾の授業を持つはずもない家内だった。

 

「まずいんじゃない」

目が覚め切っていない僕に、彼女はそう言った。

見たことのない平均偏差値、頼みの綱の数学の偏差値でさえ、例年のこの時期よりも7ポイントくらい下回っている。

「これじゃ土日閉められないよ」

黙っている僕に、家内はそう言った。

この成績の先に何が待っているのか? 僕には分からない。わずかな希望を大きな悲観が包み込んでいる。

 

授業の形態を変えるべきなのか?

でもそんなことで変化が出ないことは、20年以上も塾をやっていれば、僕にも想像ができる…。

ただいまの僕に出来きることと言えば、土日もできるだけ閉めずに窓を開け、換気扇をつけて、エアコンを適温にして、生徒たちを待つことだけだ。

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