2024年3月14日木曜日

安行中 my love 2024春

決して安行中だけのことを書きたいのではないのです。

塾に来てくれた生徒が通う東中のことも神根中のことも、それから塾生ではなかったけれど鳩中も戸塚地区の2中学のことも含めてその総称として、安行中という言葉を使わせていただきます。

 

 

今年の高校受験が終わって、今年1年に起きたことを振り返っている。

例年とは違うのかもしれないと思ったのは、9月の北辰テストが帰ってきたときだった。生徒の偏差値が僕が予想していたよりも、3から5低い数字だった。

 

仕事がら、僕はわりと塾生の北辰偏差値を当てるのを得意としている。これまでも生徒たちの北辰偏差値をずいぶん当ててきたように思う。

基準としていたのは塾で自習する生徒たちの学習時間とその様子で、そこに僕が担当する数学の式の立て方などから判断することができていたように思う。

 

2月に受験を迎えた生徒たちの半分くらいが、部活が終わる6月頃から猛烈に勉強を始めた。平日の放課後から夜塾が閉まるまで、土曜日曜も午前中から夜まで僕が感心するくらいのペースで勉強していた。

だから9月の北辰テストの結果を楽しみにしていた。ところが結果が塾に届いて、封を開けてみると、65くらいと思った生徒の偏差値が60近辺だったし、60くらいと思った生徒の偏差値は50台半ばだった。

 

何が原因なのかと考えて、アクティブラーニングと英語のファイブラウンドシステムズのことを思った。

近くの中学では昨年から、他の中学では今年からこの新しい授業のスタイルに変わっている。

 

中学の先生方の中には、この新しい授業の形が学力を上げる唯一の方法だとの見解を持っている人がいるようである。でも中学授業がこのスタイルになってから子供たちに変化が明らかに出始めている。

授業が分からない…の感覚がごく普通のこととして捉えるようになってきた。

以前であれば、授業が分からない…と感じた生徒たちは、保護者に相談するとか、塾に通おうとするとかの対処を考えたと思う。

でもこのスタイルになってからは、そうした対応を考える子供たちの割合が大きく減少したような気がする。

授業が分からないことをわりと平気なこととして、子供たちは勉強の悩みを持ち始めたように思う。

 

もちろん生徒の中にはそうした生徒たちと一線を画す生徒もいるわけで、そうした生徒たちの偏差値が上がらなくなってきたことを僕は実感していたのだった。中学の授業のレベルが僕の想像以上に下がってきているのかもしれない。そうした印象を強く持った一年でもあった。

 

塾として何らかの対応が必要となってきていた。

平日の授業の中に5教科の質問ができる時間も設けたし、土曜日曜にもやはり5科の質問ができる時間を作った。そして僕は毎週のように数学の補習を土曜日曜に行っていた。

でも偏差値の問題は、もう受験の時期まで生徒たちを苦しめることになってしまった。多くの生徒が合格平均偏差値に届かない中で高校受験を迎え、そして合格した生徒もいたし、残念ながら不合格となってしまった生徒もいる。

 

ここ数年北辰テストの偏差値の通りの受験結果が出なくなっている。中学の校長会テストも同様で、受験生にとってもっと別の指針が必要になってきているとの思いがある。

塾生には合格に必要な得点を伝えていて、入試過去問演習の得点によって受験校を決めてもらった。不合格の可能性が高い生徒には、直接ご自宅に連絡を入れさせていただいた。

ただ一つ、僕が読み違えたことがある。数学の難易度だ。

 

決して難しい数学の問題を想像していなかったわけではないが、ここまでの問題は想像していなかった。

いや、というよりも、この地域の中学生たちの数学の学力の下降があって、その下降と問題の難易度の上昇が非常にいい塩梅でこの地区の受験生たちにとって解きにくい問題になってしまった。そんな印象がある。

たとえば一昨年の選択問題と今年の選択問題の難易度はほぼ同程度か若干今年の方が難しいレベルではないかと思う。

でも同時にこの2年の間にこの地区の生徒たちには数学の学力の低下があった。そこまで考えるべきだったのかもしれない。それが後悔として残る受験だった。

 

数学の学力の低下…。それを初めて感じたのは、塾生たちから提出された定期試験の得点表を見たときだった。

学年順位が一桁の生徒の数学の得点が70点台であることが驚きだった。

数年前までは学年順位一桁の生徒の5科の得点はたいていすべて80点台後半以上だったと記憶している。きっと5教科の合計点はここ数年で数十点下がり、中でも数学の得点は大きく低下した。

 

今年の高校受験の内容を顧みると、数学以外の4教科はそれほど難しい問題ではなかったと思われる。比較的解きやすい問題だったとの感想が多かった。

 

学力問題では、例年よりもやや難しいと思われる数学であっても、塾生たちはおそらく平均点付近以上の得点を取っていたようである。だから学力問題の方は他の地域との間にそれほど大きなハンディはなかったと思われる。

塾生の場合、ほとんどの生徒が121月の北辰テストで、前年度までの合格者平均偏差値よりも1〜2程度低い状態で受験校を決めていたのに関わらず合格することができた。

冬期講習会以降に行っていた過去問題の演習が成果を出したように思っている。

 

問題なのは選択問題の方で、たいていの生徒たちは数学以外の4教科で期待していた得点を取れたようであるが、数学で得点を下げた生徒が出ていた。

そうした中でも数学の得点の分を他の4教科で補った生徒は合格し、それが間に合わなかった生徒が不合格となる結果となったようである。

この辺が他の地域の受験生たちとの間でハンディになってしまったのではなかったか? そうした印象を持っている。

 

塾生たちに数学を教えている者として、この地域の中学生たちの数学のレベルを選択問題に対応できるレベルまで上げることの難しさをひどく感じている。

塾生の場合、中2から発展レベルのテキストを使い、ほぼ毎土曜日曜に数学の補習をしているというのに、どうしても選択問題のレベルの学力を身につけてもらうことのできなかった生徒が出てしまった。

いったい他にどんな方法があるというのだろうか? それが正直な気持ちとして心に残った。

 

いま求められているのは知識の量ではなく、数学という科目の考え方の方だから、ただテキストを進めるだけでは入試での得点となる力を身につけてもらえることが出来ないという事情がある。

その上、今回の入試の数学で得点を下げた生徒であっても、他県の問題では高得点を取ったりしている。その辺のことが、より高校入試を難しくしているのかもしれない。

 

県入試の数学で必要とされているのは知識の量ではないというのに、学校授業は知識を身につけることに終始せざるをえない状況があって、他県ではまだそれが通用する部分があるのに、県入試は時代が求める新しい問題の方向に大急ぎで舵を取っている。

唯一の解決策があるとすれば、小学生時代から知識を得るだけでない考える算数を学ぶことだと思うのだけれど、当然学校で身につけられる訳もなく、塾に通ったとしても、そこが計算中心の指導の塾であったり、基礎的な内容の指導を専門とする塾であったとしたら元も子もない訳で、でも保護者の関心は内容よりも我が子が机に向かう姿を求める風潮のようなものがあって、そのことが子供たちにハンディを持たせるだけでなく、高校受験自体のハンディを広げることに繋がってきているような気がする。

 

それを思った時、新学期が始まって来年の受験生の前に立つ僕はかなり必死になっているには違いないのだけれど、これからの生徒たちを浦和西や蕨にはもう送ることが出来ないのではないか?との不安を感じ出している。

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