2016年8月24日水曜日

塾長の憂鬱 … 共通問題の導入

現中3生の高校受験から、一部の高校で英語と数学の選択問題が導入される。一部の高校とは、川口北、浦和西、蕨、越谷北、……、大宮、一女、浦和といった学校である。そしてその他の大半の公立高校では英語と数学の入試問題がかなり簡単になる。この簡単になった問題を以下共通問題と呼ぶことにするが、選択問題同様この共通問題の方も、29年度に高校受験を迎える受験生たちを抱える塾長としては不安がある。正直なところ夏期講習会も終盤となった8月末の時点で、選択問題と共通問題の不安の比は私の中で6:4といったところだろうか…。それくらいこの共通問題に対する不安も、私の中では大きい。
最近になって複数のテキスト業者から、選択問題の予想問題等の購入を勧められている。しかしどうも私には、その業者が作成したという予想問題の信頼性を疑う気持ちもある。もう少し選択問題に関する情報を集めようとは思うが、もしかしたら自校問題を採用している都立上位校の過去問題あたりを入試前に演習させるという方法に落ち着くようにも思っている。

では共通問題の対策はどうしたらいいのか。最近私の中では、そちらの方の不安が大きくなっている。
ある保護者は、問題が簡単なるのだから心配はない…というようなことを口にしていた。しかしそうはいくのか?という不安が私の中にはある。
そもそも問題が簡単になるということは、平均点の上昇を当然招くことになる。県教育委員会のホームページに出ていたサンプル問題を見る限り、上位の受験生たちが選択問題を受験するとはいえ、平均点は50点近くになるのではないか? これが事実だとした場合、川口・草加という従来の中堅校から、越谷南・浦和南さらには越谷といった高校では、当然平均点を超える得点が必要とされる。とくに前述の越谷南等の3校は、70点から80点近い得点が合格のためには必要とされるのではないか。
ここで問題なのが、難しい入試問題で50点付近の得点を取ることと、簡単な問題で70点以上の得点を取ることのどちらが大変か?なる疑問である。生徒の性格にもよると思うが、過去問題や信頼性の高い予想問題がない状況では後者の方が容易いのではないか?との思いに辿り着いてしまう。
よく聞く話であるが、シローズの近くの中学校の卒業生は、入試で合格して入学した高校で、入学後定期テストの点数が取れない…という話がある。これは学力がないのではなくて、いわゆる正解率の悪さに起因しているように思う。理解しているのに、点数が悪いという生徒たちだ。これは小学校の低学年から、易しく解きやすい問題ばかりに慣れていることが関係しているのではないか。
しかも初年度であるために入試前に行う過去問題がない。やはりこれが大きい。

そもそも今回の入試変更の目的とは何なのか? 
「受験生1人1人が最後までしっかりと取り組み、力が発揮できるように内容を改善」というのは、確かに聞こえが良いが、高校受験の現場を知らない人たちの机の上の議論ではないか…との思いにつながる。
確かに以前から、解けない問題の多さを指摘する向きはあった。しかしそれを問題にするのであれば、授業についてはこれない生徒たちに、もう小学校の低学年から補修等のケアーをするなどの対策もできたはずである。そのケアーがない状態での入試変更では混乱を招くだけではないだろうか。

本題に戻ります。
平成29年度入試変更は、おそらく大きな混乱を招くことになるのではないか。選択問題が導入された上位校も、そしてかなり簡単となる共通問題の導入校でも意外な生徒の不合格者が出るものと思われる。それが嫌ならば、レベルを下げた高校を受験…という方法はあるだろうが、それが子供たちのためになる方法であるとは思えない。
おそらく、シローズの近くにある中学校の生徒たちにとっては、不利な受験となるのではないか? 選択問題導入校に受験した生徒たちは発想力の部分で不利となり、共通問題導入校を受験した生徒たちは正解率の悪さで不利となる。シローズの近くの中学校は学力的に低いと言われているが、29年度入試ではそれに加えて、発想力と正解率の部分で悩まされることになるのではないか?

8月末の塾長は、そんな不安に駆られている。

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