2013年6月30日日曜日

今年の「夏期講習会」について


 今年も夏期講習会の季節になりました。
 毎年そうなのですが、今年もシローズの生徒の皆さんの状況、そして安行地区・新郷地区の中学生の皆さんの状況を私の頭の中に入力し、そして何度もリターンキーをクリックして、頭の中にイメージとして出来上がったのが今回の夏期講習会の内容です。塾生と見学に来ている生徒たちには案内を配布中ですが、指導によって目指す内容の詳細について、案内では伝え切れない点がありますので、以下にまとめさせていただこうと思います。

「小学生算数ゼミ」
・第一期の夏休み(7月22日(月)〜 7月31日(水) )の期間、ほとんど毎日講習を行いますので、生徒である各子どもたちの精神的な状況を見ながら、いろいろな話をしながら進めていきます。
 クラス定員は4名までとします。それ以上の受講希望者がいた場合には2クラスに、さらに希望者多数の場合(そんなに希望者はいないと思いますが、)には、16時20分から開始ということもちょっと頭にあります。

「小6算数Sゼミ」
・一番やりたいのは、1学期の学習範囲の復習です。
 「答え合わせ」そして「家庭での直し」という、履修生徒たちがやってきた1学期の学習範囲の中で、「もう一度説明を聞きたい問題」というのがきっとあると思うのです。それをもう一度説明し、あるいはヒントを伝え、もう一度「家庭での直し」をしてきてもらう。そしてテキストを進めることも…。ただし履修する生徒によって、内容は変わります。

「中1復習クラス & TACゼミ」
・中1復習クラスとTACの生徒たちとSクラス生たちの成績の違いは、たぶんそれは家庭学習の習慣の有無のせいなのだと思います。その思いからこの講習の発送はスタートしています。できれば家庭学習をしてもらいたいのですが、もしも家でほとんど勉強をしなかったとしても、塾で先生について行う 2時間 × 16日(英語8回 + 数学8回)の時間は決して裏切らないと思います。行う内容は、1学期学習範囲の復習です。

「中1・中2テストゼミ」
・内容は8回のテスト(英・数・国)とその翌日の解説の内容です。テストは中1生が1学期から2学期学習範囲までの模擬試験問題、中2生が1学期学習範囲までの内容のものを使います。毎回の順位も配布し、解説授業の復習を宿題として出します。テストゼミのメリットは毎回自分の順位が確認でき、それが学習意欲へとつながること、そしてもう一つがこの単元はこの解き方をすれば良いという頭の準備が通用しないことだと思います。

「中3ゼミ」
・安行地区・新郷地区の中学校は中3授業が全て終わらないうちに受験、そして卒業式を迎えます。塾で総合問題を行う冬休みまでに、中3学習範囲を終わらせる。そのために塾使用テキスト(英語・数学)と講習テキスト(理科・社会)を使ったテキストゼミと、上記のテストゼミ(中3生1学期学習範囲までの模擬試験問題使用)を合わせた講座です。テストゼミでは、上述のメリットを期待したいと思います。

「中3TACゼミ」
・本当は全員でテストゼミとテキストゼミをしたいという気持ちがあります。でも中3生の中には、それ以前の生徒の皆さんて、たぶん多いと思います。ルートや因数分解よりも中2範囲までの計算を、to不定詞よりもbe動詞や一般動詞を…etc、という中3生の皆さんのクラスです。授業日と授業時間、そして指導科目は、生徒の皆さんと相談させていただきます。

 以上が夏期講習会の内容です。夏休みは期間がありますから、夏休み前の学力と夏休み後の学力では別人になれる…、いや別人にまではなりませんが、今年の11月か12月になったときに別人のような学力になった生徒がいたとして、その生徒の成績上昇に一番役立ったのが夏期講習だったということは言えると思います。また詳細については、メールや電話等でお答えします。ぜひお問い合わせください。


2013年6月22日土曜日

「中1復習クラス」のはなし


 

このところ中1Sクラスの話題ばかりを書かせていただいているような気がします。確かに彼らは私にとって、気になる生徒たちではありますが、中1生のクラスにはもう一つのクラスがあります。今回はそのクラスについて書かせていただきたいと思います。
 お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、シローズには中2生と中3生にあるfクラス(補習クラス、市立川口高校レベルまでの高校を目指す生徒のクラス)が中1にはないのです。中1生のクラスにはその代わりに中1復習クラスがあります。
 中1復習クラスは、他のクラスとは違って、テキストが教科書準拠のものを使っています。本当は他のクラス同様、偏差値を上げることを目的としたテキストを使いたいところなのですが、家庭学習が定着していない状況では、むしろ中学授業の予習と復習をした方が効率的なのではないか…。そうした思いから、教科書準拠のテキストを使うことにしています。
 ただ実はいま、この中1復習クラスが問題にぶち当たっています。その他のクラスで使うテキストよりも時間が掛からない(少ない時間の家庭学習で授業が成立する)はずの教科書準拠のテキストが進まないのです。理由は一つ、生徒である◯△と◇△ちゃんが家庭学習をほとんど行わずに、週2回の授業中だけで問題を解くわけです。当然、彼らの進度は中学校の授業よりも遅れがちになってしまいます。そんな状況が、ここのところずっと続いていました。
 はじまりは◯△との会話でした。その日はもう一人の◇△ちゃんが休みで、教室の中は彼と私だけでした。私の授業はたいてい生徒との会話で始まります。その日もたあいのない話から始まったように思います。私が彼に言いました。
  「ねえ、もっと早く来れないかな?」
 彼はここのところ、毎回5分から15分ほど遅刻することが続いていたのです。
  「たぶん、来れる…」
  「じゃあ、今日はなんで遅刻したの?」
  「明日部活の大会だから、今日は用意していたから」
 彼らしい、悪気が少しもないような言葉でした。僕は気づかぬうちに微笑みながら、彼に言いました。
「明日の用意をしてから塾に来るのは、小学生じゃないかな。◯△(彼の名前です)は中学生なんだから、塾が終わってから用意をしないとダメだよ」
「分かった」
 確かに、彼はそう言いました。私が自分の耳を疑いました。いつもの彼は、私からの注意に近い言葉を受けたときに、黙り込むことが多かったのです。何かが彼の中で化学反応をし始めた…、そのときにそんな驚きを感じていたのです。そんな彼に勇気づけられた私は、確か前に断られたことのある言葉を口にしていました。
  「◯△(彼の名前です)、月曜日から木曜日まで塾に来ない」
 私は、黙っている彼の反応を見ながら、言葉を続けます。
  「◯△(彼の名前です)は家で勉強をしないから、あんまりテキストが進まないじゃない。英語も数学も中学校よりも遅れているでしょ。それで考えたんだけど、月曜日から木曜日まで塾に来て勉強したらどうかと思うのね…」
 私は時間割を思い浮かべながら、月曜日と水曜日の中1復習クラスと生徒が一人であるTACの授業を合わせたらどうだろうか。もちろんTACの生徒である○○にも、月曜日と水曜日の中1復習クラスにでてもらうことにしよう。
 私の前で、彼が口を開いています。
  「うん、何時にどこにくればいい?」
  「来たら、事務所に来て」
 実は、話はそこまでだったのです。授業中ですから、私は彼に問題を解いてもらいながら、その解説とマル付けをしていました。

 翌日の授業の開始時間に、彼のお母さんからお電話をいただきました。今日も塾に行くと行って、その日の朝中学校に出たそうです。部活の大会が長引いているのか、まだ帰って来ない。今日は休ませますが、明日は行けると思いますのでよろしくお願いしますとのことでした。そして彼は授業日ではない木曜日も塾に来ました。いつもの遅刻もいまのところなくなりました。彼の中で、やっぱり何かが変わりはじめたのだと思います。もうすぐ中学校では期末テストが行われますが、たぶんテストの点数も中間テストよりは上がってくると思います。
 Sクラスの生徒たちとは違い、復習クラスは成績が真ん中付近から下の生徒さんたちを対象としたクラスです。たぶん中2f、中3fクラスも含めて、安行地区・新郷地区の中学生たちにとっては、より必要性の高いクラスだと思います。そして私も含めてシローズの講師たちは、Sクラスの指導とは180度違う指導を求められます。もっと生徒たちにとって身近な存在にならなくてはいけないと思いますし、何よりもどんな生徒にも可能性があることを決して忘れてはならないと思います。そして彼らは逆に、講師である私たちにときに教えてくれるのです。やっぱり僕を(私を)諦めないで良かったでしょうと…



2013年6月16日日曜日

「一人の少年が浦和高校に入るということ」


 

シローズを始めてから、塾長である私の頭に常にあるのが、小学生のときにたくさん遊んでいた元気な少年少女たちに、たくさん勉強してもらって浦和高校と浦和一女に入ってもらうこと、それともう一つがテキストを開くことを忘れてしまった小学生や中学生たちに、もう一度勉強する大切さを知ってもらって、出来るだけレベルの高い高校に入ってもらうこと。その二つがいつも私の頭の中にはあります。

 今回は前者の浦和高校と浦和一女に入るということについて、書かせていただきたいと思います。今回も安行地区と新郷地区の小中学校に通う児童・生徒の場合という注釈付きです。それから男子生徒と浦和高校という設定で書かせていただきますが、男子生徒を女子生徒に、そして浦和高校は浦和一女に変えることが出来ると思います。では始めます。

 すごく能力がある(ここでの能力はいわゆる頭の良さの指数である知能指数と呼ばれるものではなくて、精神年齢が高いと解釈してください)生徒がいたとします。塾に来てくれてしばらくたった頃から、彼と私の間に浦和高校という共通目標が出来たように思います。確かに彼は努力をしていました。成績も徐々にではありますが上がってきました。ただときどき、軌道修正が必要となるのです。私の仕事は塾で彼に算数そして数学を教えることですが、次第にその軌道修正の役割の方が多くなっていきます。
 何のための軌道修正なのかと言えば、もちろん他の高校ではなく浦和高校に入るためです。ではなぜ軌道修正が必要なのかと言えば、結局安行地区・新郷地区の小中学校の常識が、彼の学習姿勢を乱していると感じることがあるからです。とくに中学に入学して、中学生としての生活が始まってからは、そう感じることが多くなりました。具体的に言えば、どこまで考えて答えを出すかという作業です。ここでは問題を考えている時間はあまり関係がないかもしれません。むしろ量ではない質が気になるときが増えてきました。宿題はほぼ彼の中では完璧にやってきてはいますが、ときどき私にはその質が気になってしまって、不安になってしまうことが増えてきています。
 たぶん彼が悪いわけではないと思うのです。彼は有意義な中学校生活を送ろうと努力をしていたのだと思います。でもこの中学校での生活が、彼の家庭学習の質を彼が気づかないうちに下げてしまうことが頻繁に起きるようになります。
 そんなときが、私の軌道修正を彼が必要としているときなのだと思います。私は彼の軌道修正をどのタイミングで行えば良いか? 私はタイミングを図ります。たいていは授業中に、何度かそのチャンスがやって来ます。私が何度目かのチャンスに、彼に対して言葉をぶつけます。私の口から出た一言に、彼はまず当惑します。それだけではなく、「僕は一生懸命やっている」という反論を、私に対して返してくるときがあります。今度は私がその言葉に対して反論します。彼の頑張りを認めながらも、いまの頑張りは浦和高校に入れるような頑張りではないのだということを真剣に話します。彼が私の話を理解しようとするのは、その頃になってからです。
 たいていのこうした軌道修正で、私が使う言葉は、私の気づかぬうちに一つのポイントを利用していることが多いような気がします。それが浦和高校の合格者平均偏差値と彼らの通う中学校の平均偏差値の関係です。

 安行地区・新郷地区の中学校の平均偏差値は、年によってまた中学校によって異なると思いますが、たいていは43〜45、高い年であっても47〜48まではいっていないと思います。これには根拠があって、受験実績もそうですし、塾の授業中に生徒たちから伝わってくる中学校授業の説明レベルが公立入試問題に対応し切れていない、もっと率直な言い方に変えれば、偏差値50付近以上の高校に合格できる入試得点を取ることのできる授業レベルにないと言えると思います。つまり中学校の授業の予習と復習だけで、入れる高校としては県陽高校以下のレベルの高校になってしまっているのではないかとの思いにも繋がります。

 話を戻します。中学校の平均偏差値が43〜45だとしたときに、浦和高校の合格者平均偏差値は平成24年度の実績で70.8(浦和一女は69.6)ですから、中学校の平均よりも25以上も高い偏差値を取る必要が出てきます。その部分で、私は彼に聞くのです。
「今の勉強の仕方で、中学校の平均よりも25以上高い偏差値が取れると思う?」
 この種の質問を、手を変え品を変えながら彼に問います。そして彼に、いま自分が何をすべきかを考えてもらいます。結局はその繰り返しだと思います。そうした彼と私の試行錯誤の中で、彼は徐々に成長していくのだと思います。

 もしも彼の人間的な成長がなければ、浦和高校は確実に遠ざかるのではないでしょうか。逆に悩みながらも、ときには疑問を持ちながらも私の話を真剣に聞き、浦和高校を目指してくれたとすれば、浦和高校は着実に彼の方へと近づいていくはず。そして彼も浦和高校に似合う生徒となっていくはずです。それが安行地区・新郷地区の小学生と中学生たちの浦和高校への入り方なのだと思います。




2013年6月10日月曜日

「高等学校の合否の決め方、頑張れ中1S生」




 1学期の中間テストが終わり、全教科が返されて、たぶん来週には学年順位が発表されるだろうと思われる先日の金曜日、中1Sクラスの授業中に見せる生徒たちの様子が気になりました。
 いつもと様子が違うのです。なんだか生徒全員に元気がない。いつも元気で、授業の始まる前にはみんなでうるさい程おしゃべりをする彼らが、この日はいつもよりも静かに感じられましたし、授業が始まってもやっぱりいつもとは違うように思えました。AちゃんとBくんがひどく眠そうでしたし、Cくんもとくに初めのうち元気がないように見えました。

 これは私の想像なのですが、中間テストの成績が自分たちの想像よりも低かったために元気がない、あるいは次の期末テストのために睡眠時間を削って家庭学習を始めているのかもしれない。そんな思いがしてきました。今週の授業でも様子が変わらなければ、保護者に連絡を取らせていただきたいと思っていますが、彼らにとっては中学の定期テストの成績が、高校受験の合否を決める最大の要素になっているのではないかと考えているのかもしれません。これ自体、間違えではないと思いますが、正解とは言えないのですね。実はそのときにも少し話したのですが、授業中ということもあって、余り長く話すことが出来なかったものですから、今日は高校受験の合否がどのように決まるのか? ということについて、書かせていただこうと思います。

 まずは私立高校です。いまほとんどの私立高校は、入学試験の前に合否を決めています。ほとんどという言葉を使ったのは、入学試験で合否を決めている高校もあるからです。でもそれは、早稲田・慶応・立教等の有名大学の付属高校と超有名高校に限定されていると思います。都内も含めてその他の私立高校は、中学校三年の1学期の通知表の評定か、7月から9月、10月、11月位までの北辰テストの偏差値で内定者(受験の場でこの言葉は使われていません。個別相談の場で、「私立高校はこちらしか受験しないつもりなのですが大丈夫でしょうか」とお聞きして、「大丈夫です」と言われれば、ぼほ100%合格です)を出しているのが現状です。注意すべきは、どこの高校でも中学の通知表の評定を見せることが出来るのですが、上位の私立高校ほど偏差値の方を重視しています。

 次に公立高校ですが、川口市内の中学校はなぜか「内申点」や「資格」を重視して、北辰テスト等の模擬試験の偏差値を軽視する傾向があります。実は今年からさいたま市では、市内で中3時に数回行われる校長テストと内申点等により、各高校別の合否が分かる相関表の冊子が各中学に配られているそうです。ただ川口市の校長会は、個人情報の問題を理由に製作を取りやめたと聞いています。ですからなおさら、お子さんの志望校を決定するときには、注意深く熟慮する必要があるのではないでしょうか。

 シローズでは、今年から次のような志望校判定をするつもりです。
 高校別に標準内申点(これは一般的な受験用語ではなくて、私の造語です)があります。これは高校別の合格者平均偏差値(塾生が北辰テストを受験している塾に、前年の各高校の受験結果をまとめた冊子が北辰図書から配布される。その冊子に男女別に記載されている)で合格できる内申点です。そのもしも塾生Aくんが標準内申点よりも2ポイント低ければ、偏差値を数ポイント上げる必要があります。実はいま、シローズでは前述の標準内申点と合格者平均偏差値の相関表を作成中なのですが、その一部を下に表しますと以下のようなものになります。

  高校名          標準内申点     合格者平均偏差値            上段内申点
                                             下段偏差値

  川口高校                 26                            52          23 24 26 28 30 32
                                                                                     54 53 52 51 50 49

   市立川口高校           29                            57                     32 30 29 28 26
                                                                                          55 56 57 58 59

   川口北高校               35                            62                     38 37 36 35 34 33 32
                                                                                          59 60 61 62 63 64 65

 表中の数値がボーダーラインだと考えていただきたいと思います。ここで注目していただきたいのは、表の上段に書かれた内申点です。おそらく中学校の受験指導の影響もあって、安行地区・新郷地区の保護者の方たちが、考えている以上に低いのではないでしょうか。この辺を熟慮して志望校を決める必要があることも指摘させていただきます。

 資格や生徒会活動はどうなのか? 塾の過去の受験生たちの状況を見ると、まず資格は英検の準2級、漢検の2級以上も含めて、加算される得点がそれほど高いわけではないようです。英検3級等では、なおさらだと思います。資格を取るための労力と時間を考えると、その分偏差値を上げる勉強をした方がいいのではないか。そんな意見が出てくるのも当然かもしれません。部活の部長等も同様でしょう。ただし生徒会の役員は別格のようです。ただし生徒会の役員になると、かなり帰宅の時間が遅くなるようですから、その辺のプラスマイナスは考える必要もあると思います。また資格を取るための労力と時間を考えると、その分偏差値を上げる勉強をして、偏差値アップを目指すべきではないかとの見方も出来るかもしれません。

 安行地区・新郷地区の中学生にとって、もっとも心配なのが偏差値ではないでしょうか。合否を考えるとき、最も合否に影響を与えるのが、当日の入試で何点取れたかだと思います。それを図るのが、北辰テスト等の模擬試験の偏差値です。
 ご承知のように、安行地区・新郷地区の中学校の平均偏差値は、ここのところ43から45くらいではないかと言われています。実は中1生たちに話したのが、この問題なんです。つまり学年1位を目指して内申点の満点である45を目指すと、当然偏差値は下がる傾向にある。もちろん稀に偏差値70以上で内申45の生徒もいるようですが、その生徒は努力をして勝ち得たというよりも、知能指数による勝利なのだと思います。一般的な知能指数(少し高めの生徒も含めて)の生徒では、必ずどちらかが低下するものではないでしょうか。ですから、その辺を考える必要があると伝えたかったのです。
 今までの経験から、定期テストの2週間前までは塾の勉強をして偏差値アップを目指す。2週間前からは塾の勉強を止めて、テスト勉強に集中する。それが安行地区・新郷地区の中学生にとっては、ベストの学習方法だと思います。ですから中学校の授業中に覚えられることは、やはり覚えてしまうべきです。家庭学習は英語の予習復習と宿題だけに絞るべきだと思います。あとは塾の予習復習と宿題をやって、偏差値を上げましょう。それで浦和高校や浦和一女に入れるか? 大丈夫です。シローズの先輩たちが入れたのだから、あなたたちも入れます。



2013年6月9日日曜日

「1人の生徒が変わるとき」




 去年のデータが分からないので、私の推測になるのですが、たぶん安行中学校で川口北校以上への進学者はこのところ10人を下回り、5人から7、8人というのが現状なのではないかと思います。最近では、今の大学一年生(現役)が中学を卒業した年が一番良かったと記憶しています。あの年は確か20名が川口北校以上の高校に進学したのではないでしょうか。20名というのは、ここ20年余の中で最高の人数だと思います。たいてい10名を下回るくらい、学力レベルの低い年だと5名というのが、やはり安行中学校の実力となっているようです。新郷の東中学校も、安行東中学校も年によっての差はあると思いますが、だいたい安行中学校と同じような状況だと思います。
 こうした状況が、安行地区や新郷地区で川口北校の評価を上げているのだと思います。つまり、「川口北はよほど出来る人しか入れない」とか「川口北校に入れれば、どんな仕事にも就ける」etc.的な嘘がまかり通っているのだと思います。

 なぜそれが嘘かというと、前にも別のところで書かせていただいたと思うのですが、さいたま市の中学校に子どもたちを通わせている保護者たちは、川口北校をそのような高校とは思っていないようです。平均的な学力の子どもたちが入学する高校、あるいは不合格回避のためにレベルを下げて入る高校。そんなふうに考えている方たちの方が多いのではないかと思います。ところがわずか、そこから直線距離で10キロほど離れた安行地区や新郷地区では、全く別の賞賛ばかりが聞こえてくる。それに騙されてしまってはいけないと思います。

 もっと現実を見ないといけない。結局川口北校という高校は進学校という括りで高校を考えたとき、やはり最低レベルの高校だと思います。なぜならそれより下のレベルの高校だと、大学の入学のために指定校推薦を選ぶ必要が出てきてしまう。ここでいう指定校は、公立・私立上位校の生徒が選ぶ有利な条件のための指定校推薦ではなくて、大学入学のための選択肢が指定校推薦しか残されていない状況になってしまっているということです。
 そしてもう一つ気になるのが、最近の就職試験問題のレベルです。それを考えたとき、やはり川口北校以上の高校合格の学力がないと、労働条件の揃う企業への就職はかなり難しいという側面があると思います。

 この辺までにしておきましょう…。こうした事情に、シローズのスタッフたちは誰もが気づいていようです。そしてそのスタッフたちは、塾に来てくれた小学生と中学生の皆さんに、川口北校以上、できればその上の蕨・越谷北校以上の高校に入学してもらいたいと強く思っています。ただどんなにそのことを強く願ったとしても、やはりすべてのシローズに来ている生徒の皆さんに、それを求め過ぎることはできないと思います。あくまでもどのレベルの高校を選ぶかは、生徒本人とその保護者が決めることですし、塾がその決定に口を挟むことは決して許されないことだと思います。それにいま小学生と中学生を取り巻く環境としては、どれだけの時間の勉強をしてもらうかということについても、塾が口を挟めない状況にもなってきているようにも思います。あくまでも塾の授業と家庭学習までを含めたその生徒の学習の質と量は、保護者と生徒である小学生・中学生が決めることなのだと思います。ただ良い結果は欲しい…。誰もがそんな難解すぎることを求めている状況であっても、絶えずシローズの中を見渡して、小学生から中学生までの生徒の心の動きを想像しなから変わりつつある生徒たちはいないか? それを探しながら声をかけるのが、塾長である私とスタッフたちの日常になっています。 

 なぜ安行地区・新郷地区の中学生たちが、川口北校以上の高校になかなか入ることができないか? それを考えるとき、この地域の中学生たちの意識の問題にぶつかってしまうように思います。当然小学校と中学校の授業のレベルの問題があるでしょう。でもそのレベルの問題を作っているのは、授業を受けている児童・生徒たちの意識ではないでしょうか。

 塾の授業でも、生徒たちの意識の問題にぶつかってしまうことが多々あります。まず塾に入塾して間もない生徒たちの中には、おしゃべりやあくびをしながら授業を受けようとする子がいます。全く授業と関係のないことを講師たちに話して、その反応に笑いながら、その合間に説明を聞き問題を解こうとする子までいます。その状況にない生徒たちでも身体を動かしたり、集中しているときとは違う目の動きをしています。たぶんそれが小学校や中学校での日常的な授業の受け方なのだと思います。小学校・中学校の先生方も、決してそれを良しとしているわけではないと思います。でもそういう状況を容認しないと、保護者の皆さんの理解を得た中で、学級運営をすることが出来ない状況になってしまっているのではないでしょうか。

 塾の英語の指導で、単語や熟語と英文を書いてくることを宿題として出しています。そして次の授業で確認テストをするのですが、書いてきているのにもかかわらず、確認テストで半分も点数が取れていない生徒がいます。これも意識の問題だと思うのです。「覚えよう」とか「覚えなくちゃならない」という意識が低すぎるのだと思います。たぶん彼らは覚えるためではなく、宿題をこなすために単語や英文を書いているのだと思います。これこそが意識の問題です。ただこの意識の問題の厄介なところは、改善のための処方箋がいまのところないことです。

 処方箋がない。ではどうするか? たぶん怒鳴ったり、ひどく怒ったりしてしまったら、昔の子どもたちと違って、大半の子がヤル気を無くすと思います。だからその処方箋は使わない方がいいと思います。
 ただ意識の問題を抱える子どもたちは、ときに授業妨害となってしまう行動を気づかぬうちにしてしまうことがあるように思います。授業中に授業と関係のないことを口にしてしまったり、宿題をあまりやって来ないで授業の進みを止めてしまったりということが起こります。そんなときは注意をさせてもらっています。注意をしても、直す姿勢がない場合は怒ることになります。
 やっぱり残されている方法としては、生徒と話をすることしかないのかもしれません。世間話から今日あったこと。そこにときどき高校や受験の話題を入れて…、こちらがそのこの子のことを一生懸命考えているということを知らせることしか方法は残されていないように思います。それから保護者の方からの情報も有益です。

 そうしたシローズの日常の中で、いま小6のA君が変わりつつあります。彼は元々能力がある(知能指数がとくに高いという意味ではなく、学習に向いている)のに、いつも途中で気持ちが折れていたんです。それは、平常心で何をやっても合格点を得る妹さんの影響もあったのかもしれません。プライドが特別高い彼には、身近で何をしても器用に結果を出す妹さんの存在によって、絶えず挫折感を感じていたのではないでしょうか。
 その彼がひと月ほど前から変わりました。塾授業中の様子が違う。教室で眠そうにダラダラとやっていた彼はもういません。塾の中で誰よりも明るく、キラキラ輝いているように私には見えます。もちろん、今のままですべてが達成できる…というレベルではないと思います。もっと家庭学習の時間を増やす必要があると思いますし、彼がシローズで使っているテキストも、出来ればSクラスの生徒が使っているテキストにやがて変更する必要も出てくると思います。でも彼は、たぶんやってくれるでしょう。私はそう思っています。