2013年11月6日水曜日

就学時の児童たちの不思議な世界

 
    こんな話は知っていますか?
 いま小学校に入学する子どもたちは、「ひらがな」や「1から10までの数字」はもちろん、一桁の足し算や簡単な漢字が書けるというのが常識になりつつあるようです。それにたぶん、これは私の想像ですが、あと数年経つと簡単な英語がしゃべれるという能力までがこれに加わるかもしれません。

 上に書いたことというのは、何も県内で学力レベルが高いと言われる旧浦和市等の状況ではないのです。安行地区や新郷地区でも、やはりこうした状況が起きているようです。
 その理由として上げられるのが、1つは幼稚園での「計算」や「漢字」そして「英語」の導入です。保育園や他園との差別化を図ろうとする幼稚園が、学習の導入に積極的になっているというのがあると思います。そして二つ目が小学校で英語教育が導入されたことで、小学校入学前の習い事に「英語」が加わって来たということがあると思います。そうした中で、小学校入学時の子どもたちが、一桁の足し算や引き算の計算や、自分の名前を漢字で書くこと、そして簡単な英語を使った挨拶といったことができる子どもたちの割合がかなり増加している。そしてまだ経済的に比較的に余裕があり、まだ子どもたちが年齢的にスポーツで成績が出難い年代であることも学力熱を押し上げている。それが三つ目の理由といえるかもしれません。

 ただここで疑問が生じてきます。そうした小学校入学前の学力熱が、小学校入学後の学力向上に役立っているのか? というと、だぶんそれはNOだと思います。そして小学校入学時に高まった保護者たちの学力熱が、入学後に一気に下がってしまうのか? というと、それもやはりNOではないでしょうか。ここで感じるのが、小学校入学前に子どもたちが学んだことが、もしかするとその後に役立っていないのではないかとの疑問です。

 当然、「褒めて育てる」的な現在の小学校教育に保護者たちが惑わされているというのはあると思います。余程学習に問題がない限り、小学校の先生方は問題なし的な話を保護者にすると思います。それで安心した保護者たちが、子どもたちの学力の下降に気づかない…というのは、たぶんあると思いますし、通知表にしても、学力をあらわすこととは違う次元のものになってしまっているのも、また事実だと思います。

そうしたマイナス面がたとえあったとしても、就学前の保護者たちの加熱ぶりからは想像ができない程、安行地区・新郷地区の小学校は低いままです。今後は上がるのではないかとの期待もあるとは思いますが、どうでしょうか? 何十年間も学力レベルが一向に好転しなかった小学校が、果たして急に学力レベルを上げることができるでしょうか。それにときどき見せていただく授業公開の場の雰囲気は、そんな思いがかすかな期待であると教えてくれているように思ってしまうのは、私だけではないと思います。

 そもそも就学時の子どもたちに必要なのは、まず授業中に集中して授業を聴けることだと思います。でもこれが、小学校低学年の子どもたちには一番難しい。このことなくして、足し算や引き算の計算であるとか、漢字や英語もないと思います。
 どうなのでしょうか。保護者の皆さんが就学に当たって、熱くなり過ぎているように私には思えるのですが…。そして私には、こうした現状が、やや不思議な世界のように思えてきます。
 実はそうした思いもあって、先々月ぐらいから、シローズでも幼稚園児(年長児)の指導を始めています。まずは日付とひらがなの学習をしてもらいながら、集団授業の中で60分間座って授業を受ける勉強をしてもらっています。日付とひらがながマスターしたら、次は計算の指導をしようと思っています。ここでの目標は、考えることで答えを導き出すトレーニングです。

 いまの小学生の皆さんに何が不足しているかと言えば、それはたぶん落ち着いて、論理的に考える作業の中で答えを導き出す能力だと思います。これができないと算数嫌いになってしまったり、算数ばかりではないのですね、小学校高学年以降の学力が身につき難くなりますし、ということは高校受験を目の前にしたときに、一気に成績が下がってしまったり…ということが起きてしまうのだと思います。




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