2013年11月4日月曜日

公立入試はまだ分からない

 

 ある生徒がシローズをやめるかもしれないと言っている。
 
 この生徒は中学3年生、安行地区の公立中学校に通い、来春には高校受験を迎える予定の生徒である。やめる理由というのが、塾を続けても成績が上がらないというもの。このままでは、志望校に決めている市内の高校に合格することなどできないのではないか。ご家庭では、高校には行かないで…などという話まで出ているらしい。
 そもそも成績が上がらないということに関しては、当人と塾の両方に責任があるはずである。塾の責任というのは、つまり私の責任ということになる。ということで、もしかしたらご家庭では当人であるお子さんと、もう一人の当事者である私が、責任を問われる立場になっているのかもしれない。
 そういう状況の中にいながら、私はまだこの生徒の高校合格を諦めてはいない。できることならば、今後も彼を指導させていただきながら、彼を志望校へと導きたいと考えている。たぶんそう考えている私と、我が子にはもう可能性がないと頑に考えてしまっているご両親の間に、相反する心の動きが起きているのではないだろうか。そしてこれは当然のことであるが、授業料の負担というのがご家庭にはある。そのご負担とお子さんの可能性というものが、天秤に乗せられているという状況があるのだと思う。
 
 受験生を持たれる親御さんというのは、お子さんの成績の上下動によって、急に落ち込んでしまう…というようなことがあると思う。落ち込みはマイナス思考を生み出して、そしてそのマイナス思考が、お子さんの受験校であるとか、そして今回のように塾を続けることに対して、非常に消極的な考え方を生み出してしまうのではないだろうか。ましてお子さんの成績がまったく上がらないという状況ではなおさらだと思う。そこに前述の授業料の負担という問題が、最近はとくに厄介な問題を引き起こしているのだと思う…。こんなとき、私は一番、保護者の方たちと私との考えのギャップを感じてしまい、途方に暮れながら苦いブラックコーヒーを朝からがぶ飲みすることになってしまう。
 そもそも中学の定期試験の問題がそのまま入試で出るわけではない(いま公立高校の入試問題は定期試験の問題よりもかなり難しくなっている)し、北辰テストや中学の校長テストだって、公立入試の問題とは大きくかけ離れている(公立入試問題の方が、圧倒的に深い知識の理解が求められている)というのが現状だと思う。ということはこの時期に大きく成績が下がっても、またこの時期になっても成績が上がらなかったとしても、それだけで一喜一憂する必要はない、まだ受験の結果は見えて来ないというのが、私の持論になってきています。
 今の時点(11月の第2週)では、まだまだ入試は見えないと思います。勉強の仕方によっては、5から10程度の偏差値を上げることも、また逆に5から10程度偏差値が下がることも充分に起こり得る時期だと思います。というのは、入試が3月の初めになりました。そして北辰テストや校長会テストにしてもまだ全範囲が出題されていない状況です。そしてどうでしょうか。安行地区・新郷地区の中学生たちの大半が、まだ入試モードになっていない時期なのではないかと思います。問題なのは、やるべきことをいま本当に少しずつでもいいからやっているかどうかではないか…と思えるのです。
 私がこうしたことを強く言えるのには、実は次のような側面があります。
 川口市内の高校で言えば、下は川口工業から川口青陵、川口東高校、そして川口総合高校ぐらいまでの高校の合格に必要な入試得点は、保護者の皆さんが考えるよりもかなり低いと思います。もちろんその年の入試平均点にもよるのですが、5教科500点満点で半分はおろか、100点に満たない高校が数校ある。一番高いレベルの高校である川口総合高校であっても、200点までは必要ないかもしれない。ということは、まだまだこれからの勉強で入試合格点が取れる可能性があるということです。

 それからこんな側面もあります。上でも少し触れたことのですが、北辰テストや校長会テストの結果と公立入試問題の相関性が年々薄くなって来ているように思います。つまり北辰テストや校長会テストで合格偏差値を取れたからと言って、公立入試当日に合格点が取れるとは限らない。さらには、その逆も多いに可能性があるということです。つまりいま模擬試験でまったく合格偏差値を取っていない生徒であっても、まだまだ合格の可能性があるということです。

 もう一つ、過去十数年の高校入試の結果を考えると、実際には見えない学力というものが存在しているようです。とくに冒頭で取り上げた生徒のように、中学校の早い時期から塾に来てくれている生徒たちに見られることです。同じ偏差値であっても、中学校の早い時期から塾に通っていた生徒と最近塾に通い出した生徒、そしてまだ通わずに自分で勉強している生徒では、入試得点が変わって来てしまうようです。たぶん北辰テストや校長会テストに出ない学力というのがあるのだと思います。
 ですから皆さん、希望を持ちましょう。そしてご自分のお子さんのことを信じてください。そしてそれを希望にしてください。しつこいようですが、最後にもう一言、受験はまだ分からないですよ。



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