2013年5月11日土曜日

「算数と数学の間違った学習の仕方」


 算数と数学の勉強の仕方について書かせていただきたいと思います。
 シローズの生徒たちは、わりと算数や数学ができると言われているようですが、思うように成績が上がらない、または成績が上がるまでにかなり時間が掛かってしまう子たちもいます。そういう子たちは、次のような特徴があるような気がします。
 それを書いてみますと、

    1. 授業中の講師(たいてい算数と数学の指導は塾長である私が行っていますが)の説明
  が習慣として頭に入らない。言い換えれば、小中学校の授業中に、先生方の説明を聞
  いて理解するという習慣ができていない。
     「だいたい聞いている」とか「だいたい分かった」と、口にしがちな生徒たちが、これ
  に該当するのかもしれません。もっと言ってしまえば、授業をしっかり理解できてい
  ない状態が普通になってしまっている状況といえるかもしれない。

   2. 家庭学習が定着していないために、授業中に講師が「ここを復習して直して来て」、
  あるいは「◯◯から△△が宿題です」と言った内容をほとんど行わない状態で次の授
  業に出てしまう。

   3. 問題を解くときにテキストや教科書の例題を見ながら、あるいは自分のノートから過去
    にやった類似問題を見ながら解くという習慣が身に付いてしまっている。このために塾
       の授業で講師が「自分で考えるんだ」という話を聞いても、宿題に追われている状
       況の中で、ついつい例題や類似問題を見ながらという習慣から抜け出せない。

 上で書かせていただいた中で、それぞれが深刻な問題だと思うのですが、比較的1と2の内容というのは、時間を掛ければ解決できる問題だと思います。実際に今年の4月に入塾した生徒の中に上の1と2に該当する生徒がいましたが、保護者の皆さんの協力によって、一月あまりが経ったこの時期、だいぶ改善されてきています。
 私たちが手を焼いてしまうのが、実は上の3に該当する生徒たちです。彼らの場合、わりと定期試験の点数が高いという特徴があります。そのことが、彼らの算数や数学の学習の仕方の訂正をしにくくさせているという面があると思います。生徒である彼らにとってみれば、80点から90点の点数を学校で取っているのですから、今さら勉強の仕方を変える必要はないと考えてしまうのは当然のことだと思います。それが塾に通い出した途端、「その勉強の仕方は間違っている」と言われてしまっては、彼らのプライドは傷つくし、せっかく出来かけて来た塾の先生たちとの信頼も壊れてしまいそうになるのではないでしょうか。ただそれでもその勉強の仕方を直さないと、将来的に困ることになってしまいます。
 一番最初の困難は、中2の2学期の初めに来ます。一次関数の単元で、中学校で教える解き方とは違う解き方を教えなくてはならない箇所があります。中学校で教える解き方とは違う解き方という書き方をしましたが、中学校で教わる解き方でも解けないことはないと思います。でも時間が掛かってしまうんですね。模擬試験や入試は制限時間がありますから、中学校で教わる解き方をしていては制限時間内に終えることができない。そのためにシローズでは、この単元の底に隠れている知識を引っ張りだして解くことを教えています。ところがいろんな知識を引っ張り出さないといけないために、例題や前に解いた問題を参考にして算数や数学を解いてきた生徒たちにとっては、頭の中が混乱してしまって、パソコンでいうフリーズ状態(固まる)?になってしまうのだと思います。
 こんなとき、保護者の方たちはひどく動揺してしまうようです。
  「いままであんなに数学が得意だったはずなのに、急に分からなくなった。塾に通っているのにどういうことですか」
    でもそれにはやっぱり理由があるんですね。その理由というのが、上で書いた3の勉強方法だと私には思えます。
 ちょっと話が変わるのですが、算数や数学という科目は、以前に学習した内容が次に学習する単元の基礎知識となってしまう科目だと思います。例えば小学校の学習範囲で、分数のわり算は分数のかけ算が理解していないと、理解できない単元です。中学校の学習範囲でもそれは同じで、中学1年生・2年生で学習した内容が分からなければ、中学3年生で学習する範囲を理解することができないように思います。
 ところが中学のカリキュラムは上手くできていて、中学1年生と2年生で学習する数学の単元は、大方似通っている内容となっています。中学入学後すぐに勉強する「正負の数」とその次の「文字と式」は中2の「式の計算」の単元で復習できます。それから中1の「比例と反比例」は中2の「一次関数」で、中1の「一次方程式」は中2の「連立方程式」である程度まで復習ができるはずです。あと中1範囲では、「平面図形と空間図形」の単元が残っていますが、たぶんそれは受験前の総合問題の演習で復習ができると思います。
 ところで保護者の皆さんにとっては、いつ頃までにお子さんを塾に通わすべきかとの疑問があるのではないかと思います。数学という科目で考えたとき、中学2年生の早いうちまでの入塾が必要だと思います。よほどできる(中学の成績が良いのではなく模擬試験の偏差値が高い)生徒は別だと思いますが、一般的な生徒たちにとって、数学という科目に限定した場合には、やはり中学2年生がリミットだと思います。それも出来るだけ早い時期に
 中学の中間・期末テストのレベルとは違う、最近の公立入試レベルでの中1範囲の復習をしながら、中2範囲の入試レベルの学習をするには、もうこれが最後のチャンスになってしまいます。そして例題や過去に解いた問題を参考にしながら問題を解くという悪い習慣を身に付けている生徒たちに、考えて知識を総動員させて問題を解く習慣を身につけさせることで、中1・中2範囲の数学知識を一気に公立入試のレベルに押し上げることが出来るはずです。もちろん安行地区や新郷地区のように、小中学校の授業のレベルが異常に低くなっている地域限定での話ではありますが、
 
 もう一度話を戻します。上の3の勉強方法を気づかぬうちに身に付けてしまった生徒であっても、中学2年生の終わりまでは数学が得意科目となっている人たちがいます。つまり中2の2学期の「一次関数」の単元が無事にクリアーできたわけです。たぶんその生徒たちは、知能指数がかなり高いのだと思います。ところがそういう生徒たちであっても、中学3年生の7月か9月の模擬試験をピークに数学の偏差値が急激に下降しはじめます。中学の定期試験は2学期の中間か期末までにはたぶん下がってくると思います。
 こうした場合、焦り出すのは生徒本人と保護者です。なぜこんなことになってしまったのかと途方に暮れているうちに、志望校を決める時期になってしまいます。「◯◯高校も合格圏なんだけれども、△△高校を受けようと思う」とか「大学受験を考えて私立を受ける」、そんな言葉が志望校を決めるこの時期に飛び交うのも、数学の偏差値の急激な低下と無関係ではないのではないでしょうか。
 そしてそのことは、実は大学受験にも大きく関係します。国公立大学の場合、文系の大学受験であってもセンター試験で数学の受験が必要です。ただ中学3年生までに、数学が苦手科目となってしまった生徒たちにとっては、高校入学後の数学授業はかなり苦痛となってしまうのではないでしょうか。その結果が国公立大学を諦めて、私立大学への受験に絞るという結果に繋がっているようにも思います。
 ただ何度も書かせていただいた3の算数・数学の勉強方法なんですが、現在の小中学校の学習指導ではやむを得ない部分もあるように思います。去年だったか、近くの小学校で算数科の研究発表がありました。幼稚園の関係で出させていただいたのですが、発表の内容が、いかに落ちこぼれを無くして最低レベルの授業を維持していくか。そこに先生方の関心が向かってしまっているように思えました。そうすると小学校での算数授業は、算数が苦手な生徒も答えられる質問を先生方が児童たちに投げかけて、それに児童たちが手を上げて答える。それから誰もが解けるレベルの問題演習。知識をフル動員して考えるような指導は、もう期待できる状況ではないのかもしれない。その結果が例題を見ながら、一度解いたやり方を見ながらという習慣に結びついてしまっている理由の一つなのかもしれません。そして小中学校での評判が良く、素直でおとなしい子ほど、そうした算数・数学の学習方法を身に付けている子が多いようにも思います。




 

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