2013年6月22日土曜日

「中1復習クラス」のはなし


 

このところ中1Sクラスの話題ばかりを書かせていただいているような気がします。確かに彼らは私にとって、気になる生徒たちではありますが、中1生のクラスにはもう一つのクラスがあります。今回はそのクラスについて書かせていただきたいと思います。
 お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、シローズには中2生と中3生にあるfクラス(補習クラス、市立川口高校レベルまでの高校を目指す生徒のクラス)が中1にはないのです。中1生のクラスにはその代わりに中1復習クラスがあります。
 中1復習クラスは、他のクラスとは違って、テキストが教科書準拠のものを使っています。本当は他のクラス同様、偏差値を上げることを目的としたテキストを使いたいところなのですが、家庭学習が定着していない状況では、むしろ中学授業の予習と復習をした方が効率的なのではないか…。そうした思いから、教科書準拠のテキストを使うことにしています。
 ただ実はいま、この中1復習クラスが問題にぶち当たっています。その他のクラスで使うテキストよりも時間が掛からない(少ない時間の家庭学習で授業が成立する)はずの教科書準拠のテキストが進まないのです。理由は一つ、生徒である◯△と◇△ちゃんが家庭学習をほとんど行わずに、週2回の授業中だけで問題を解くわけです。当然、彼らの進度は中学校の授業よりも遅れがちになってしまいます。そんな状況が、ここのところずっと続いていました。
 はじまりは◯△との会話でした。その日はもう一人の◇△ちゃんが休みで、教室の中は彼と私だけでした。私の授業はたいてい生徒との会話で始まります。その日もたあいのない話から始まったように思います。私が彼に言いました。
  「ねえ、もっと早く来れないかな?」
 彼はここのところ、毎回5分から15分ほど遅刻することが続いていたのです。
  「たぶん、来れる…」
  「じゃあ、今日はなんで遅刻したの?」
  「明日部活の大会だから、今日は用意していたから」
 彼らしい、悪気が少しもないような言葉でした。僕は気づかぬうちに微笑みながら、彼に言いました。
「明日の用意をしてから塾に来るのは、小学生じゃないかな。◯△(彼の名前です)は中学生なんだから、塾が終わってから用意をしないとダメだよ」
「分かった」
 確かに、彼はそう言いました。私が自分の耳を疑いました。いつもの彼は、私からの注意に近い言葉を受けたときに、黙り込むことが多かったのです。何かが彼の中で化学反応をし始めた…、そのときにそんな驚きを感じていたのです。そんな彼に勇気づけられた私は、確か前に断られたことのある言葉を口にしていました。
  「◯△(彼の名前です)、月曜日から木曜日まで塾に来ない」
 私は、黙っている彼の反応を見ながら、言葉を続けます。
  「◯△(彼の名前です)は家で勉強をしないから、あんまりテキストが進まないじゃない。英語も数学も中学校よりも遅れているでしょ。それで考えたんだけど、月曜日から木曜日まで塾に来て勉強したらどうかと思うのね…」
 私は時間割を思い浮かべながら、月曜日と水曜日の中1復習クラスと生徒が一人であるTACの授業を合わせたらどうだろうか。もちろんTACの生徒である○○にも、月曜日と水曜日の中1復習クラスにでてもらうことにしよう。
 私の前で、彼が口を開いています。
  「うん、何時にどこにくればいい?」
  「来たら、事務所に来て」
 実は、話はそこまでだったのです。授業中ですから、私は彼に問題を解いてもらいながら、その解説とマル付けをしていました。

 翌日の授業の開始時間に、彼のお母さんからお電話をいただきました。今日も塾に行くと行って、その日の朝中学校に出たそうです。部活の大会が長引いているのか、まだ帰って来ない。今日は休ませますが、明日は行けると思いますのでよろしくお願いしますとのことでした。そして彼は授業日ではない木曜日も塾に来ました。いつもの遅刻もいまのところなくなりました。彼の中で、やっぱり何かが変わりはじめたのだと思います。もうすぐ中学校では期末テストが行われますが、たぶんテストの点数も中間テストよりは上がってくると思います。
 Sクラスの生徒たちとは違い、復習クラスは成績が真ん中付近から下の生徒さんたちを対象としたクラスです。たぶん中2f、中3fクラスも含めて、安行地区・新郷地区の中学生たちにとっては、より必要性の高いクラスだと思います。そして私も含めてシローズの講師たちは、Sクラスの指導とは180度違う指導を求められます。もっと生徒たちにとって身近な存在にならなくてはいけないと思いますし、何よりもどんな生徒にも可能性があることを決して忘れてはならないと思います。そして彼らは逆に、講師である私たちにときに教えてくれるのです。やっぱり僕を(私を)諦めないで良かったでしょうと…



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