2013年6月16日日曜日

「一人の少年が浦和高校に入るということ」


 

シローズを始めてから、塾長である私の頭に常にあるのが、小学生のときにたくさん遊んでいた元気な少年少女たちに、たくさん勉強してもらって浦和高校と浦和一女に入ってもらうこと、それともう一つがテキストを開くことを忘れてしまった小学生や中学生たちに、もう一度勉強する大切さを知ってもらって、出来るだけレベルの高い高校に入ってもらうこと。その二つがいつも私の頭の中にはあります。

 今回は前者の浦和高校と浦和一女に入るということについて、書かせていただきたいと思います。今回も安行地区と新郷地区の小中学校に通う児童・生徒の場合という注釈付きです。それから男子生徒と浦和高校という設定で書かせていただきますが、男子生徒を女子生徒に、そして浦和高校は浦和一女に変えることが出来ると思います。では始めます。

 すごく能力がある(ここでの能力はいわゆる頭の良さの指数である知能指数と呼ばれるものではなくて、精神年齢が高いと解釈してください)生徒がいたとします。塾に来てくれてしばらくたった頃から、彼と私の間に浦和高校という共通目標が出来たように思います。確かに彼は努力をしていました。成績も徐々にではありますが上がってきました。ただときどき、軌道修正が必要となるのです。私の仕事は塾で彼に算数そして数学を教えることですが、次第にその軌道修正の役割の方が多くなっていきます。
 何のための軌道修正なのかと言えば、もちろん他の高校ではなく浦和高校に入るためです。ではなぜ軌道修正が必要なのかと言えば、結局安行地区・新郷地区の小中学校の常識が、彼の学習姿勢を乱していると感じることがあるからです。とくに中学に入学して、中学生としての生活が始まってからは、そう感じることが多くなりました。具体的に言えば、どこまで考えて答えを出すかという作業です。ここでは問題を考えている時間はあまり関係がないかもしれません。むしろ量ではない質が気になるときが増えてきました。宿題はほぼ彼の中では完璧にやってきてはいますが、ときどき私にはその質が気になってしまって、不安になってしまうことが増えてきています。
 たぶん彼が悪いわけではないと思うのです。彼は有意義な中学校生活を送ろうと努力をしていたのだと思います。でもこの中学校での生活が、彼の家庭学習の質を彼が気づかないうちに下げてしまうことが頻繁に起きるようになります。
 そんなときが、私の軌道修正を彼が必要としているときなのだと思います。私は彼の軌道修正をどのタイミングで行えば良いか? 私はタイミングを図ります。たいていは授業中に、何度かそのチャンスがやって来ます。私が何度目かのチャンスに、彼に対して言葉をぶつけます。私の口から出た一言に、彼はまず当惑します。それだけではなく、「僕は一生懸命やっている」という反論を、私に対して返してくるときがあります。今度は私がその言葉に対して反論します。彼の頑張りを認めながらも、いまの頑張りは浦和高校に入れるような頑張りではないのだということを真剣に話します。彼が私の話を理解しようとするのは、その頃になってからです。
 たいていのこうした軌道修正で、私が使う言葉は、私の気づかぬうちに一つのポイントを利用していることが多いような気がします。それが浦和高校の合格者平均偏差値と彼らの通う中学校の平均偏差値の関係です。

 安行地区・新郷地区の中学校の平均偏差値は、年によってまた中学校によって異なると思いますが、たいていは43〜45、高い年であっても47〜48まではいっていないと思います。これには根拠があって、受験実績もそうですし、塾の授業中に生徒たちから伝わってくる中学校授業の説明レベルが公立入試問題に対応し切れていない、もっと率直な言い方に変えれば、偏差値50付近以上の高校に合格できる入試得点を取ることのできる授業レベルにないと言えると思います。つまり中学校の授業の予習と復習だけで、入れる高校としては県陽高校以下のレベルの高校になってしまっているのではないかとの思いにも繋がります。

 話を戻します。中学校の平均偏差値が43〜45だとしたときに、浦和高校の合格者平均偏差値は平成24年度の実績で70.8(浦和一女は69.6)ですから、中学校の平均よりも25以上も高い偏差値を取る必要が出てきます。その部分で、私は彼に聞くのです。
「今の勉強の仕方で、中学校の平均よりも25以上高い偏差値が取れると思う?」
 この種の質問を、手を変え品を変えながら彼に問います。そして彼に、いま自分が何をすべきかを考えてもらいます。結局はその繰り返しだと思います。そうした彼と私の試行錯誤の中で、彼は徐々に成長していくのだと思います。

 もしも彼の人間的な成長がなければ、浦和高校は確実に遠ざかるのではないでしょうか。逆に悩みながらも、ときには疑問を持ちながらも私の話を真剣に聞き、浦和高校を目指してくれたとすれば、浦和高校は着実に彼の方へと近づいていくはず。そして彼も浦和高校に似合う生徒となっていくはずです。それが安行地区・新郷地区の小学生と中学生たちの浦和高校への入り方なのだと思います。




0 件のコメント:

コメントを投稿