2025年3月27日木曜日

2025.3 いま公立入試の場で何が起きているのか? ③現状

今回の投稿で、「この地域」という言葉を使わせていただいていますが、こんな風にご理解をいただきたいと思っています。

主に安行中と安行東中の状況を想像して、この言葉を使っています。

 

その2中学周辺の中学校、例えば東中であれば1割減で、戸塚2中学もやはり1割減、神根中と鳩ヶ谷に至っては2割減程度で考えていただきたいと思っています。

 

 

今日は先日の北辰テストの結果が塾に届いていて、思ったよりも良かった子もいたし、逆に思ったよりも偏差値がとれていない子もいた。

だから生徒たちの反応もさまざまで、喜んでいる子もいれば、どこか浮かないような顔をしている子もいた。

 

ただ、もう北辰テストは合否の診断をする模擬試験ではなくなったと思っています。

県入試問題に考えないと答えが出ない種類の問題、これが思考力と発想力の問題だと思うのですが、この種類の問題が5教科に渡って年々増えてきていますので、北辰テストや中学の実力試験で測れない部分の学力があるわけで、北辰テストの信頼性は年々下がってきているように思うのです。

 

でも僕は生徒の皆さんに、毎回北辰テストの受験を勧めています。

それは合否判定でなく、やる気を持続させるために必要だと思うからです。

もう公立入試は中学の定期試験では全く測れないですし、頼みの綱だった北辰テストや中学の校長会テストもなんだか存在感が小さくなってきている状況だと思います。

それだけ思考力と発想力が県入試に入ってきたことは、それに年々その割合が5教科に渡って増えてきていることは、とてもとても大きな変化だと思っています。

 

②で書かせていただいたように、この地域の中学生たちは小学生の時に思考力と発想力を鍛える学校授業をほとんど受けていません。

それが毎年の受験結果に大きく影響しているように思っています。

県入試問題が知識量を問う試験から、知識の使い方を問う試験へと年々その割合を増やしている中で、入学する高校のレベルが下降していっていることがそれを表しているように思います。

 

現状として、もう浦和西・蕨というレベルは小学生からしっかり塾に通っていた生徒でないと届かないレベルになってきているような気がする。

以前であればたとえば5、6年前であれば、中3からでも十分に間に合ったと思うのだけれど、もう浦和西・蕨というレベルはとても高い壁になった感がある。

どうなのだろう。中3生から塾に入塾した場合、合格する高校は川口が最高位、中1、または中2の早い時期からなら市立川口が最高位となってしまった感がある。

 

物の値段が大きく上がっていく中で、いまこの地域では学習塾に通う時期が次第に後になってきている。

中3からの入塾者が、その年の受験生の半分を超える年まである状況。

小学生の習い事としてはスポーツが一般化している中で、受験に対応できない中3生たちを川口東から川口に合格させることが、塾の主な指導になってきた。

それはそれで、僕には楽しい時間には違いなのたけれど、それでいいのかな?と呟きたくなっている自分がいる。

塾長は春の一見薄曇りとも見える空を見上げながら、また呟いていた。

それでいいのかな?と。

2025年3月23日日曜日

「2025.3 いま公立入試の場で何が起きているのか? ②塾が取るべき対応策」

公立入試を終えて」では、この地域の受験生たちの公立入試で不合格者が多く出てしまう原因について、僕なりの考えを書かせていただいたつもりでいる。

厄介なのが、やっぱり入試問題の変化で、北辰テストや校長会といった模擬試験では測りづらい能力とも言える思考力や発想力を使う問題が昨年までよりも多くでだしていることがこの問題を厄介なものにしている。

その上、思考力と発想力と呼ばれる能力は生まれつきと言っていいのかもしれないくらいの大きな個人差を持つ。

 

数学の選択問題にとくにこの種類の問題が多いと思うのだけれど、考えるべきことはほかの地域の受験生たちが容易く解くのに対して、この地域の受験生たちにとってはかなり解きづらい問題になっていること。

この地域の受験生たちが大きく得点を下げているのに、県平均が大きく下がっていないのはその表れだと思う。

 

これはたぶんこの地域の小学校からの学校授業の影響が大きいのだろう。

他の地域の子供たちが小学校入学以降、徐々に発想力と思考力を身につけさせる授業が行われているのに、この地域の学校授業はいまだに基礎的な内容の説明に終始している…。

深く考えさせて答えを出させるのではなく、単純な問題を教師が説明し、その説明通りに解くことが授業になっているように見える。

それがあるから、僕が自分で今年の数学の選択問題を解いたとき、これはこの地域の受験生には解けないよ。そう思った。

きっと30点から40点くらいは取れると思う。それ以上の点数を取ることはこの地域の受験生にとっては、一部の知能指数の高い生徒を除いてかなり難しいことになってしまった感が強い。

 

そうした中、この地域の子供たちを教える塾は何をしたら良いのか? そのことは絶えず僕の頭の中にある。

もしも高校合格だけを考えるのであれば、数学を捨てるという方法があるのだろう。

30点くらいの得点を取れるところまでしかやらずに、数学以外の4教科で得点を取る。数学を捨てれば、勉強時間はかなり取れるはずだから、内申点を可能な限り取る。

このやり方を取れば、学力問題実施校はもちろん選択問題を実施している高校のうち下位に位置する川口北、越谷、市立川口等の高校への合格はグッと近づくことになるだろう。

 

この数学を捨てるやり方は、指導する塾の意識してそれを行っているかに関わらず、いまこの地域の子供たちを指導する多くの塾が行なっていることのように思う。

でもこの数学をある意味捨てる指導の仕方は、この地域の受験生たちの合格率を確実に上げるだろうけれど、高校入学後に数学を苦手科目にしてしまう危険な指導とも言えないか。

統一テストがあり、その後の就職にはSPIがある。

もしも生徒一人一人の今後を考えるならば、5教科を満遍なく、出来るだけ数学の指導に力を入れて、発想力や思考力を身につけさせる指導こそがこの地域の塾がするべき指導と言えるのではないだろうか?

2025年3月14日金曜日

2025.3 いま公立入試の場で何が起きているのか? ①公立入試を終えて

今年の公立入試を終えて、僕の中にはいろいろな思いがある。

今年の高校入試で、近くの中学の生徒たちがどのレベルの高校にどれくらい合格し、どれだけの人が不合格になったのかも、いま(3月の中旬の時点)はまだ耳に届いていない。

でも公立の受験で不合格になった人たちが例年よりも多かったのではないか? いま現在、そんな印象がある。

 

去年と今年の違いは、中学校が受験校の決定に口を挟まなかったこと。

去年は受験校の決定に中学が大きく関わっていたこと。担任が自宅に電話をし、100パーセント合格できない。そうした言葉を保護者に口にしていたという話も聞いたし、学力問題の高校を受験した塾生のほとんどが担任から受験校の変更を求められていた。

それが今年はまったくなかったのである。

 

だから今年、生徒たちはもう一度立ち止まって、どうしようか?という葛藤なしに、自分が受験したい高校を受験したのだと思う。

保護者の方たちも偏差値や内申点から合格できる高校を選ぶというよりも、我が子が受けたい高校を受験させていたという傾向がやはり強くなっているのかもしれない。

それに話題に出ている私立無償化が、そうした保護者の方たちの気持ちを後押ししてしまったのかもしれないし、中3次の通塾率や北辰テストの受験率といった状況が他地域よりもかなり下回るこの地域が、もしかしたら合格と不合格の狭間の情報に疎くなっているのかもしれない。

 

  いま公立入試は、2020年の大学入試の影響を受けている。

  それまでの知識量の測定という意味合いの試験から、知識を使って考える方

向に転換してきている。

小学校からの学校授業もそれに合わせるように変化してきている。

しかしこの地域では、まだそうした変化が完全ではないようだ。授業に変化を持たせること。イコール授業の難易度を上げることになるために、保護者の理解を得られないということを教員が警戒していることがその原因ではないかと思われる。

 

 その結果今年の公立入試で何が起きていたかといえば、入試問題の演習を繰り返していたような生徒であっても、あるいは北辰テストで高い偏差値をとっているような子であっても、その年の公立問題がわずかに思考力と発想力の方向に進んでしまったとしたら、急に得点が取れなくなってしまう可能性がある。

 今年の数学の選択問題は、そうした可能性を大きく含んだ問題だった。

 単元ごとの従来の解き方では答えが出ない。まさしく思考力と発想力を必要とする問題だったと思う。

でも県内ではそうした問題を苦もなく解く一群がいる。いや解ける子たちの方が多いのかもしれない。

 そうした中で、この地域の子どもたちは戦っていた。

2024年5月4日土曜日

安行中 my love 2024春④ 浦和西、蕨への合格のために

2024年度が始まって、ひと月が経った。

塾には何人か新しい顔が加わって、僕はといえば、数学に加えて今年から英語を教え始めた。

だから今までよりも、一人の生徒に向かい合う時間が多くなってきている。

 

やはり学力はかなり下がってきている。

公立入試問題のレベルが塾で使っているテキストだとすれば、そのテキストのページを進めることができないもどかしさがある。

以前ならば、中学の授業を足掛かりにして進めることができたページまでどうしても進めることができない。

生徒たちがすぐに音を上げるという種類の困難さではなく、彼らの持つ学力が次のページの内容に入ることを強く拒み始めている。

 

おそらく、これからこの地域の中学生たちは蕨や浦和西には今よりもごく少数の子しか入れなくなるたろう。市立川口は高嶺の花で、かなり上手くやった生徒の進学先が県立川口になっていくような気がする。

おそらく中学校の授業は単元の主要内容の説明だけで、単元のごく表面の知識しか中学の授業では指導されなくなるのだろう。

その上学力のことばかりでなく、アクティブラーニングの弊害なのか、中学生たちの授業の受け方も乱れてきている。

 

これからどんな子が浦和西や蕨以上の高校に入れるのかと言えば、きっと生まれつき頭の良い子に限定されていくのだろう。

ここ数年の間は中学入学後に猛烈な量の学習をした子が合格する可能性はある。でもそうして浦和西や蕨に合格する生徒はやがて限りなく0に近づいていくような気がする。

それだけの量の学習をする子がいなくなるような気がするからだ。

 

社会の変化があって、当然子供たちにも変化が起きてきている

でもアクティブラーニングが始まるまでは、まだ猛烈な量の学習量をこなせる中学生はまだいたと思う。

他の塾のことは分からないが、シローズには必ず毎年一人か二人もう止めたくなるくらい勉強する子がいた。

でもアクティブラーニングが始まってから、明らかに子供たちは変わってきた。

子供たちもそして保護者も努力を限りなく小さなものにして、最大の成果を得ることばかりを求める風潮がさらに大きなものになってきた。

 

じゃあ、もしも安行中、安行東中、そして東中の生徒が浦和西や蕨を目指すとして、何をしなくてはならないのかと言えば、事は小学生まで遡ってくるのだと思う。

もう中学生からじゃ遅い。小学校に入学したら、早い時期に難しい算数の学習をするべきだ。

難しいと言っても、中学入試の問題までは必要ないと思う。

中学入試問題に若干入るくらいのところの問題を解きながら、ひたすら考えてほしい。問題を考えるというよりも、クイズを解くような感覚で、絶えず頭を動かして算数の問題を解いてほしい。

 

Z会のグレードアップ問題集というものがある。

小学校に入学後の早い段階で、こういった問題集を使うべきだと思う。

 

これは想像の部分があるのだが、この地域の小学校の算数授業には考えるという作業が不足しているように思う。

他の地域の小学校の算数授業との違いが、この地域の中学生たちに違う形の高校入試を味合わせているのではないか。

いまの高校入試が単に知識量を測る試験ではなくなり、思考力や発想力と言われる能力を測る試験になっているというのに、この地域の中学生たちだけが、それに対応することができなくなっているのは、小学校の算数授業と深く関係があるように思う。

 

このことは塾にも責任がある。

生徒の定着率を上げるために、あるいは敢えて解きやすい問題を解かせることで指導力の不足を隠すために、そうした指導を続けていた塾もあった。

だから小学生の時期から算数の指導をする塾に通っていた子でもあっても、この地区の中学生たちは思考力や発想力を持てないまま高校入試に突入しているという事情がある。

 

高校入試はここ5年で随分と変わった。

すべての教科が単に知識量を測る試験から、考えるということを主軸にした内容になった。とくに数学ではひらめくことができるかどうか?という種類の問題がかなり増えてきている。

 

そしてコロナ禍の学校休校があって、アクティブラーニングと英語のファイブラウンドシステムの導入のために、他の地域との間に受験格差がはっきりと生まれてきている。

 

解決策を考えれば、小学生時の算数指導だと思うのだけれど、それに対して学校授業に安心しきっている地域全体の思いがある。

そして考えてみると、今年の受験までは大きな問題は数学だったように思うのだけれど、それを小学生時の算数指導によって対応できたとしても、実はもう一つの不安が残る。

もしも英語の入試問題のレベルまでが上がってしまったとしたら、もうこの地域の子供たちの高校受験はどうしようもない結果を招いてしまうことになるだろう。

実は僕はそのことを恐れている。

2024年4月20日土曜日

安行中 my love 2024春③小学校授業

塾の近くの中学で、今年浦和西以上の公立高校に合格した生徒はおそらく5人、浦和1人、蕨2人、浦和西2人というのが、今年の実績だと聞いている。

言い換えれば、今年公立高校を受験した近くの中学の生徒の中で、北辰偏差値がおよそ63.5以上だった生徒はわずか5人だったとの見方もできるはずである。

少なすぎやしないか

現高2生たちの時の人数は分からないが、現高3生の時の浦和西以上の合格者は確か10人前後だったはずだし、その前年は15人前後ではなかったか…。

 

なぜこんな状況になってしまうのか?

中学の授業のことや、そしてその授業の形態の方に目はいってしまうのだけれど、もっと深く考えてみると、中学に入学する前の学力、つまり小学校の授業に問題があるのではないかとの思いに繋がってしまう。

いや問題とは言えないのかもしれない。

近くの小学校に通う児童たちも、そして保護者の方たちも、そのほとんどの人たちは、問題が小学校授業に存在していることなど、少しも感じずに全国的に見てもごく平均的な授業が行われいると考えているはずだから。

でもこの地域の小学校の授業は、他の地域との大きな格差の中で進んでいる。

 

先日、4月から中学に入学する塾生たちのテストを塾で行った。

業者からテストを購入し、採点は僕が行った。

採点して感じたのは、全体的な英語の得点の低さだった。

彼らは塾で3月から英語の授業を受け始めた生徒だから、ほぼ小学校で学んだ内容でテストを受けていると言っていいだろう。それが極端に低い点数になっていた。他の地域との間に大きな格差が広がっていると言っていいのではないか…。

                                                                                      

英語に限ったことではないのかもしれない。

国語の点数も良くはなかったし、算数が得意だと言っていた生徒たちの点数も決して高いとは言えなかった。

小学生たちの学力が他の地域に比べてかなり低くなってきている。

きっとこの地区の小学校の授業のレベルと他の地域との間に格差が生まれてきていたのはもう前からだと思うのだけれど、ここ数年でその格差がどんどん大きなものになってきている。

 

ここまで思った時、僕の頭には受験直前に大きな苦労を味わいながら、何とか気持ちの平穏を取りながら、机に向かい続けていた今年の受験生たちの姿が浮かんだ。

もっと小学校の授業のレベルが高かったとしたら、そして小学校入学の頃から考える授業を受けていたとしたら、そして彼らが小学生のもっと早い時期から塾に来てくれたとしたら、彼らの高校受験はもっと違った風景になっていたのではないか…。僕はいまそれを思っている。

 

何もこの辺の小学校のせいにしたいというのではなく、その不足の分を塾が補うことが出来れば、それでも良いのだと思うのだけれど、多くの塾が基礎固めこそ高校受験に役立つ指導だと考えている節があり、そのことが余計にこの地域の中学生たちの高校受験を危ういものにしているとも考えられる。

2024年4月9日火曜日

安行中 my love 2024春②数学という教科

県入試の選択問題、何が厄介なのかと言えば、やっぱり数学なんです。

 

今年こんな生徒がいました。

冬期講習である県の入試問題の数学で80数点を取った生徒がいました。僕はやっと伸びてきたんだ…と思って、ほっとしたり喜んだりしていたのですが、その後県入試のある年の過去問で取った点数がわずか10数点だった。

いまの県入試の選択問題の数学ではこんなことが時々起こる。

 

きっとこの地域の中学生たちの数学力の下降があって、それが県平均のレベルとかけ離れてきている中で、県入試数学の問題のレベルが少しずつ上がってきている。

その結果数学で何が起きているかといえば、ごく簡単な部類の問題では高得点を取り、それよりも難しくなれば、この地域の受験生たちは急に得点が急降下することになる。

いま北辰にしろ、校長会等の中学で行われる実力テストの類の結果の信頼性が疑われてきているのは、数学の難易度の違いによって、出てくる偏差値に違いが出てきてくることが関係しているように思う。

 

そしてもう一つ厄介にしているのが、入試でも北辰でも数学が2教科目に行われている点だ。

数学は解いている最中にその出来がはっきり分かる教科だから、出来なかった生徒は3教科目以降、気持ちの落ち込みを引きづることになる。

そのことがさらに、この地域の子たちの選択問題の高校への合格を邪魔しているような気がしている。

 

ではなぜこの地域の子たちばかりが、こんな目に遭わなければならないのか?

それを思う時、僕はどうしてもこの地域の小学生時の算数授業のことを思い浮かべることになる。

 

いま県入試の数学は思考力発想力を求める方向にある。特に選択問題は学力問題に比べて、圧倒的にその傾向が強くなる。

従来の基本問題を難しくしていく方向ではなく、問題を解く過程でひらめきや思いつきがなければ解けない問題が出されている。埼玉県の場合、他県以上にその傾向が強いのだと思う。

さいたま市等の学力の高い地域の中学生たちは、それを苦もなく平気に解いていく。でもこの地域の子供たちは、入試問題が思考力発想力の方向にシフトされると、途端に解けなくなってしまうのだと思う。

そこには、やはり小学校の算数授業がひどく関係しているのではないか?

僕の思考は、最近いつもそこに行き着いてしまっている。

2024年3月14日木曜日

安行中 my love 2024春

決して安行中だけのことを書きたいのではないのです。

塾に来てくれた生徒が通う東中のことも神根中のことも、それから塾生ではなかったけれど鳩中も戸塚地区の2中学のことも含めてその総称として、安行中という言葉を使わせていただきます。

 

 

今年の高校受験が終わって、今年1年に起きたことを振り返っている。

例年とは違うのかもしれないと思ったのは、9月の北辰テストが帰ってきたときだった。生徒の偏差値が僕が予想していたよりも、3から5低い数字だった。

 

仕事がら、僕はわりと塾生の北辰偏差値を当てるのを得意としている。これまでも生徒たちの北辰偏差値をずいぶん当ててきたように思う。

基準としていたのは塾で自習する生徒たちの学習時間とその様子で、そこに僕が担当する数学の式の立て方などから判断することができていたように思う。

 

2月に受験を迎えた生徒たちの半分くらいが、部活が終わる6月頃から猛烈に勉強を始めた。平日の放課後から夜塾が閉まるまで、土曜日曜も午前中から夜まで僕が感心するくらいのペースで勉強していた。

だから9月の北辰テストの結果を楽しみにしていた。ところが結果が塾に届いて、封を開けてみると、65くらいと思った生徒の偏差値が60近辺だったし、60くらいと思った生徒の偏差値は50台半ばだった。

 

何が原因なのかと考えて、アクティブラーニングと英語のファイブラウンドシステムズのことを思った。

近くの中学では昨年から、他の中学では今年からこの新しい授業のスタイルに変わっている。

 

中学の先生方の中には、この新しい授業の形が学力を上げる唯一の方法だとの見解を持っている人がいるようである。でも中学授業がこのスタイルになってから子供たちに変化が明らかに出始めている。

授業が分からない…の感覚がごく普通のこととして捉えるようになってきた。

以前であれば、授業が分からない…と感じた生徒たちは、保護者に相談するとか、塾に通おうとするとかの対処を考えたと思う。

でもこのスタイルになってからは、そうした対応を考える子供たちの割合が大きく減少したような気がする。

授業が分からないことをわりと平気なこととして、子供たちは勉強の悩みを持ち始めたように思う。

 

もちろん生徒の中にはそうした生徒たちと一線を画す生徒もいるわけで、そうした生徒たちの偏差値が上がらなくなってきたことを僕は実感していたのだった。中学の授業のレベルが僕の想像以上に下がってきているのかもしれない。そうした印象を強く持った一年でもあった。

 

塾として何らかの対応が必要となってきていた。

平日の授業の中に5教科の質問ができる時間も設けたし、土曜日曜にもやはり5科の質問ができる時間を作った。そして僕は毎週のように数学の補習を土曜日曜に行っていた。

でも偏差値の問題は、もう受験の時期まで生徒たちを苦しめることになってしまった。多くの生徒が合格平均偏差値に届かない中で高校受験を迎え、そして合格した生徒もいたし、残念ながら不合格となってしまった生徒もいる。

 

ここ数年北辰テストの偏差値の通りの受験結果が出なくなっている。中学の校長会テストも同様で、受験生にとってもっと別の指針が必要になってきているとの思いがある。

塾生には合格に必要な得点を伝えていて、入試過去問演習の得点によって受験校を決めてもらった。不合格の可能性が高い生徒には、直接ご自宅に連絡を入れさせていただいた。

ただ一つ、僕が読み違えたことがある。数学の難易度だ。

 

決して難しい数学の問題を想像していなかったわけではないが、ここまでの問題は想像していなかった。

いや、というよりも、この地域の中学生たちの数学の学力の下降があって、その下降と問題の難易度の上昇が非常にいい塩梅でこの地区の受験生たちにとって解きにくい問題になってしまった。そんな印象がある。

たとえば一昨年の選択問題と今年の選択問題の難易度はほぼ同程度か若干今年の方が難しいレベルではないかと思う。

でも同時にこの2年の間にこの地区の生徒たちには数学の学力の低下があった。そこまで考えるべきだったのかもしれない。それが後悔として残る受験だった。

 

数学の学力の低下…。それを初めて感じたのは、塾生たちから提出された定期試験の得点表を見たときだった。

学年順位が一桁の生徒の数学の得点が70点台であることが驚きだった。

数年前までは学年順位一桁の生徒の5科の得点はたいていすべて80点台後半以上だったと記憶している。きっと5教科の合計点はここ数年で数十点下がり、中でも数学の得点は大きく低下した。

 

今年の高校受験の内容を顧みると、数学以外の4教科はそれほど難しい問題ではなかったと思われる。比較的解きやすい問題だったとの感想が多かった。

 

学力問題では、例年よりもやや難しいと思われる数学であっても、塾生たちはおそらく平均点付近以上の得点を取っていたようである。だから学力問題の方は他の地域との間にそれほど大きなハンディはなかったと思われる。

塾生の場合、ほとんどの生徒が121月の北辰テストで、前年度までの合格者平均偏差値よりも1〜2程度低い状態で受験校を決めていたのに関わらず合格することができた。

冬期講習会以降に行っていた過去問題の演習が成果を出したように思っている。

 

問題なのは選択問題の方で、たいていの生徒たちは数学以外の4教科で期待していた得点を取れたようであるが、数学で得点を下げた生徒が出ていた。

そうした中でも数学の得点の分を他の4教科で補った生徒は合格し、それが間に合わなかった生徒が不合格となる結果となったようである。

この辺が他の地域の受験生たちとの間でハンディになってしまったのではなかったか? そうした印象を持っている。

 

塾生たちに数学を教えている者として、この地域の中学生たちの数学のレベルを選択問題に対応できるレベルまで上げることの難しさをひどく感じている。

塾生の場合、中2から発展レベルのテキストを使い、ほぼ毎土曜日曜に数学の補習をしているというのに、どうしても選択問題のレベルの学力を身につけてもらうことのできなかった生徒が出てしまった。

いったい他にどんな方法があるというのだろうか? それが正直な気持ちとして心に残った。

 

いま求められているのは知識の量ではなく、数学という科目の考え方の方だから、ただテキストを進めるだけでは入試での得点となる力を身につけてもらえることが出来ないという事情がある。

その上、今回の入試の数学で得点を下げた生徒であっても、他県の問題では高得点を取ったりしている。その辺のことが、より高校入試を難しくしているのかもしれない。

 

県入試の数学で必要とされているのは知識の量ではないというのに、学校授業は知識を身につけることに終始せざるをえない状況があって、他県ではまだそれが通用する部分があるのに、県入試は時代が求める新しい問題の方向に大急ぎで舵を取っている。

唯一の解決策があるとすれば、小学生時代から知識を得るだけでない考える算数を学ぶことだと思うのだけれど、当然学校で身につけられる訳もなく、塾に通ったとしても、そこが計算中心の指導の塾であったり、基礎的な内容の指導を専門とする塾であったとしたら元も子もない訳で、でも保護者の関心は内容よりも我が子が机に向かう姿を求める風潮のようなものがあって、そのことが子供たちにハンディを持たせるだけでなく、高校受験自体のハンディを広げることに繋がってきているような気がする。

 

それを思った時、新学期が始まって来年の受験生の前に立つ僕はかなり必死になっているには違いないのだけれど、これからの生徒たちを浦和西や蕨にはもう送ることが出来ないのではないか?との不安を感じ出している。